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社会情動スキルを身につける④/エフィカシーを高める(ふりかえりを記録する)
「効力感と自信(エフィカシー)」についてまとめる2回目です。
2021年02月06日、早稲田大学エクステンションセンターZoom講座で、向後千春先生の「社会情動スキルを身につける」を受講しました。今日は、この講座で学んだことの中から、「効力感と自信」について、私の仕事と関連付けてまとめます。
「効力感と自信(エフィカシー)」を高める方法には、次の2つがあると習いました。
(1)他者からポジティブなフィードバックを受けること
(2)自分自身の行動を振り返ること
「ふりかり」という業務
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。主たる業務は理事長業務です。また、直接支援業務も兼務しています。
今、利用者の支援においては、マネジメント理論が導入されています。そのため、PDCAサイクルに基づくふりかえりという業務が日常的に行われます。今回の講座は、「ふりかえりの方法」について考えさせられる講座となりました。
私たち支援者がおこなうふりかえりの多くは、利用者の満足度に対するふりかえりや、自分の支援方法を人権擁護の視点でふりかえることです。
しかし、利用者の満足度をふりかえる場面で、支援者が利用者に対して「もう少しがんばろうね」と言ってしまうことがあります。支援者は、ふりかえりをまちがえています。
また、私たちの仕事は、「支援」です。利用者自身が自分のことをふりかえる支援が必要です。
「連絡帳」は必要か
講座では、ふりかえりの方法の一つとしてジャーナルが勧められました。
福祉サービスを提供する事業所の多くには、「連絡帳」といものが存在します。これは、事業所と家族の間の連絡に使います。連絡帳に書かれる内容は、その日にどんな活動をしたのか、健康状態、支援者が気になったことです。利用者によっては、書いてほしくないことが書かれることがあります。それでトラブルになったことがあります。
私は、以前から連絡帳を廃止したい、もしくは、希望する人だけにしたいと思っています。しかし、支援者の同意が得られません。今後、連絡帳にジャーナルの役割を持たせられたら良いと思います。
ふりかえりを支援する
私が理想とするのは、利用者自身が自分で連絡帳を書く仕組みを作ることです。私が現場にでたときにチャレンジしたことがあります。しかし、私も毎日、同じ現場にいるわけではないので続きません。
また、支援者が機械的に連絡帳を書く方が効率的です。利用者が自分で連絡帳を書くためには個別支援が必要です。しかし、今の支援者数では、個別に対応をするゆとりがありません。
たとえば、ある利用者は、会話をしながら一日をふりかえり、それを自分で連絡帳に書きます。また、利用者によっては、項目をチェックするだけだったり、写真にシールを貼るなど工夫が必要です。アイディアはあります。しかし実現が難しくはがゆいです。
見通しを立てる
また、講義では、アドラーのモデルを使って、エフィカシーを高めるためには自分自身の活動をふりかえり、自己理想に向けて見通しを立てることであると説明がありました。
就労系の事業所に行っている利用者の話です。私に給与明細を見せながら話をしてくれました。その人は、さまざまな部品の組み立てを仕事としています。また、その事業所では、仕事ごとに単価が決まっていて、実際に仕上げた数で給与が支払われます。その内訳が給与明細に書かれています。その人は、給与明細を見ながら、自分のできたこと、苦手だったことを私に報告をし、「来月は、〇個、組み立てるから」と話してくれました。
利用者それぞれ、効力感と自信のつけ方はさまざまです。何かができるようになることだけでなく、効力感と自信を感じられるようなかかわりを目指す、そのための工夫をあきらめない、それが大事だということを学びました。