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社会情動スキルを身につける⑬/学びを実践に使ってみました(後編)

早稲田大学エクステンションセンターZoom講座「社会情動スキルを身につける(講師:向後千春)」で学んだことを、仕事で応用してみました。

私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。この講座で学んだことを自分に活かすと共に、障がいのある人たちへの支援場面でどのように活かせるかを考えています。今日のnoteは、最後のまとめとして、ケース会議で応用したときの報告・後編です。

20世紀の福祉と21世紀の福祉

前編の最後に、20世紀の福祉は、課題のある人への支援が一般的で、21世紀の福祉は、普通の暮らしを幸せにしていくことだと書きました。

20世紀の福祉は、原因論が中心でした。支援者は、利用者の行動に納得がいかないと「なんで?」という言葉を使っていました。たとえば、利用者が遅刻をすると「なんで遅刻するの」、利用者が作業中に立ち上がると「なんで立ち歩くの」といった具合です。支援者は、「なんで」を繰り返しても課題は解決しないということに気がついていませんでした。

これからの福祉は、目的論で考えます。「何がしたいのだろう」と、行動の目的を探ります。さらに、今のままで大丈夫、そう考えて、そのうえで向上を考えます。また、それを支援計画にします。

アドラー心理学を応用したアセスメント

支援計画を作るときは、集めた情報の整理から始めます。私は、そのときにアドラー心理学で学んだ技法を応用します。まず、ライフスタイル診断を意識して情報を分類します。そこで、対象となる利用者は、課題達成優先か、対人関係優先か、さらに能動的か受動的かを判断します。

次に共同体感覚のサイクルに、対象となる利用者の状況をあてはめます。共同体感覚のサイクルは「自己受容」→「所属」→「信頼」→「貢献」で巡ります。共同体感覚のサイクルが巡ることで幸福感が高まります。そこで利用者の現状を分類すると、どこが満たされていないかが見えてきます。満たされていない部分の支援が厚くなるような計画を立てます。

支援方針が見えてきた

前編で書いたケースライフスタイル診断を意識して分類すると、対人関係優先で、さらに友人と一緒のとき、能動的に行動することができるということがわかりました。また、作業技術の向上にはあまり興味を持たないこともわかりました。

共同体感覚のサイクルを意識して分類すると、友人がたくさんいる場所があり、その友人のために何かをすることに喜びを感じていることがわかりました。その反面、内発的動機付けとなる自己受容が高まるようなはたらきかけがされていないことがわかりました。事業所に行く動機付けが支援者との約束だけでした。そこで、今回の講座で学んだ社会情動スキル、心の資本を高められる計画を立て、提案をしました。

心の資本を高める支援計画

エフィカシー(効力感と自信)既存の支援は、支援者との約束を守ると支援者がスタンプを押してくれることになっていました。それを、友達と一緒に自分でスタンプを押すことに変えるよう提案をしました。

ホープ(達成への意思と経路)
友達と一緒にスタンプを押したあと、友達と一緒に仕事にはいれるようなグループ作りに変えるよう提案をしました。

オプティミズム(現実的で柔軟な楽観主義)
万が一、決められた通りに行動できない日があっても、支援者は、「たまにはそういう日もあるよね」それぐらいの気持ちでいるように、提案をしました。もともと決められた約束は、支援者が決めたものでした。

レジリエンス(立ち直り乗り越える力)
約束通りの行動ができず、友達と一緒に活動ができなかった日は、ほかの場面で友達と一緒になれるように設定し、明日は一緒に活動しようね、そういう声かけに徹するように提案しました。

講座を受講して

今回「社会情動スキルを身につける」という講座を受講して、利用者の皆さんの計画を立てるときの筋道が明確になったように思います。私たちの仕事は、課題を解決するだけでなく、未来を豊かにすることです。自分の社会情動スキルを高め、さらに利用者の皆さんの社会情動スキル向上に役立てられるようにしていきます。

最後までありがとうございました。

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