2年目研修、準備中
入職2年目の支援者向けオンライン研修の準備をしています。今回は「2年目」というところがポイントです。
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。小さな事業所が地域に点在し、また事業所にはいろいろな層の支援者がいます。
「2年目」に意味がある
入職1年目の支援者は、わからないことがたくさんあります。利用者の支援においてもどのように支援をしたらよいか不安です。利用者に聞いたり、様子を見たり、利用者の状況を確認しながら支援をします。
それが2年目になり、支援に慣れて来ると一つ一つの確認を怠ってしまうことがあります。いつもこうだからこうしよう、これでいいんだ、そう思うようになります。しかし、利用者は機械ではありません。日々、変化をし成長をします。先月は良かったことでもその日は良くないかもしれません。そこを見落としてしまうのが慣れです。
ただしこの手の失敗は、同僚や先輩からの指摘で修正されます。しかし、なかなか修正されないのが父権主義的なかかわり方です。
兄貴分のようなかかわり方
利用者と親しくなると、親身になりすぎることがあります。たとえば「お前のことはよくわかっているから」に始まり「こうしたほうがいい」、しまいには「こうしなければだめだろう」「こうしたほうがいいに決まっている」そのようなかかわり方になります。
このようなかかわり方の場合、支援者は「自分は利用者のためを思ってやっている」という強い信念があります。そのため周囲から指摘されても修正されません。しかしこのかかわり方は、人権侵害につながります。
この点にポイントを絞った研修が入職2年目研修です。
学習性無力感
以前、私がかかわった利用者のことです。その人は、高校を卒業したのちいろいろなところでアルバイトをしながら生活をしていました。しかしどこのアルバイトも長続きしませんでした。やがて気持ちが落ち込みどこにも行かれなくなり、福祉サービスを使うようになりました。
その人は、軽度の知的障害がありました。ただし、おおむね身の回りのことは問題なくこなすことができました。しかし、少し複雑なことになるとできなくなってしまいます。それがアルバイト先では顕著になり怒られ続けていました。
ご本人の話では、店長やマネージャーから「なんでこんなことができないんだ」「俺はお前の将来を思って心を鬼にして言ってるんだぞ」と言われ続けたと言います。しかし、いくら言われてもできないため、やがてできることまでできなくなったと言っていました。
私がその人にお会いしたとき、その人はすぐにこう言いました。
「ムダっすよ」「あっ、無理です」
その人が、風邪をひいて辛そうにしていたので、病院に誘いました。そのときも反応は一緒でした。何をやってもムダと思えてしまう状態を学習性無力感と言います。
ライフスタイルを知ることから
ここまで顕著ではなくても、学習性無力感におちいっている利用者はたくさんいます。また、その原因を支援者が作っていることがあるということも知らなければいけません。
外部の一般的な支援者向けの研修では、「利用者のストレングス(強み)に注目しましょう」「できないことではなくできることに注目しましょう」、と教わります。しかし、できることに注目しすぎると、これができるならこれもできるだろう、という発想におちいる危険性があります。
2年目研修では、まず支援者自身のライフスタイルを明らかにしたうえで、利用者のライフスタイルに注目するところから始めようと思っています。