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誕生日会は必要か…

グループホームでは、入居者の誕生日会を開催します。入居者の皆さんは、その日に食べるケーキが楽しみです。

私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。事業所の中には、グループホームといい、障がいのある人が共同生活をしているところがあります。私が経営するグループホームは、6人定員でそのホームが4つあります。

グループホームの誕生日会

私が、事務室でパソコンに向かっていると、「髙橋さん、今日、ケーキ」と教えてくれます。また、「髙橋さんも来れば」と、誘ってくれます。私が「いいねぇ、でも髙橋くんが行くと、ケーキ減っちゃうよ」と言うと、あわてて「ダメ、ダメ」と否定します。

以前、誕生日会のことで入居者から相談がありました。

「髙橋さん、いい歳して、誕生日会なんてはずかしいよ。もう、祝ってもらうような歳でもないしさ、やめようよ。」

支援者は、誕生日会はやるものだ、それが普通だと思っていました。そこであらためて、入居者の皆さんに聞いてみました。結果、ほとんどの方がケーキを食べたいということで継続が決まりました。

それからしばらくして「やめようよ」と言っていた入居者に、話を聞くと、「みんながやろう、やろうって言うからさ、まぁつきあわないとね」と照れ笑いをしていました。

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個人価値観を大切にする

他のホームでは「さわがしいのは嫌いです」という要望がありました。その申し出を受けた支援者は「せっかくだから、みんなでお祝いしましょよ、大勢の方が楽しいし、ケーキもあるからさぁ。」と説明をしました。しかし、騒がしいのが苦手な利用者にとっては、迷惑な誘いです。

グループホームの生活は、共同生活です。しかし、基本は一人ひとりの生活です。ご本人の価値観を大切にしなければいけません。

また、誕生日会は会費制です。経費は参加者で割り勘をします。参加する入居者には、参加するかどうかの選択肢があり、支援者は選択できるような支援をします。

すべての利用者が、言葉で意思を表明することができません。支援者は、言葉で意思を伝えることができない利用者の意思をくみ取るために、表情や行動に意識を向けます。

グループホームで暮らす

グループホームで生活をする人は、グループホームで生活するよりも長い時間、それぞれの家庭で生活をしてきます。グループホームは、まったくちがう生活習慣を持つ人たちの集まりです。

結婚をした夫婦ですら、一緒に生活をしてみて違和感を持つことがあります。夫婦は、それを「愛」で乗り越えます。しかし、グループホームに集まった人たちは、「愛」で結ばれているわけではありません。そのため目に見えない苦労をしています。また、支援者はその生活様式の違いのはざまで悩みます。

今日は、グループホームの支援者の会議がありました。支援者が、日ごろの価値観の違いをぶつけ合っていました。価値観の違いを認めるために、このぶつかり合いは有意義な時間になりました。支援者の皆さん、お疲れ様、ありがとうございました。



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