#9 冬季のおすすめ薬膳「当帰生姜羊肉湯」
中国漢代の医学書「傷寒論」には当帰(とうき)と羊肉を使った当帰生姜羊肉湯という方剤があります。
製法:当帰三両(1両が50gで150g)生姜5両(250g)羊肉一斤(500g)に水八升を加えて三升に煮詰めて、7合を温めて日に3回服用すると原文にある。
(北宋:「金匱要略」による)
この処方は原文のままなので、あくまでも当時は薬として取り入れられました。唐の時代では宮廷薬膳として知られました。
薬膳として考える場合は味も重要なので、生姜の量を30g前後、当帰の量も血虚の程度によって20g~100gまで調整し、紹興酒や塩等で味付けするようになりました。羊肉独特な匂いが苦手な方は、羊肉を①赤ワインに20分漬けたり、②花椒を漬けた熱湯を花椒は取って冷やしてから30分漬けたり、③酢水と一緒に沸かしてすぐ取り出したり、④何度も新しいみかん皮、レモン皮と一緒に沸かしたりして匂いを臭くないようにすることが出来ます。
生薬(方剤)の効果としては「腹満寒疝宿食病脈証并治第十」には「寒疝腹中痛、及脇痛裏急者、当帰生姜羊肉湯主之」。寒疝(かんせん)とは、寒邪の侵襲による血管収縮、筋緊張、平滑筋痙攣などによる腹痛です。要するに冷えによる腹痛です。また「婦人産後病脈証治第二十一」では「産後腹中痛、当帰生姜羊肉湯主之。並治腹中寒疝、虚労不足」とあります。産後腹中痛には当帰生姜羊肉湯がこれを主るのです。そして、腹中寒疝と虚労不足にも用いられます。産後の血虚に寒邪が乗じて起こった腹痛に良い訳です。
薬膳の効果として羊肉は身体を温める働きが高く、中国では厳冬季によく食される肉です。羊肉は寒を除き陽を補います。冷え症、冷えを伴う下痢、下腿浮腫(むくみ)、生理不順、精力減退、腰がだるい、夜尿症、疲れやすいなどに適応するのです。また、血を増やして、気を益して、弱った身体を丈夫にする働きもあります。
当帰はセリ科シシウド属の多年草の根茎です。当帰の基本的な性質は温で身体を温め、五味は甘・辛、帰経(主に作用する内蔵系)は肝・心・脾に分類されています。婦人科の良薬で有名です。現代の薬膳の中で最もよく使われているのが当帰といえます。そして生姜は皆さんもご存知のように熱を加えると血行を改善し身体を温めてくれます。中国では当帰生姜羊肉湯は夏場は身体が火照るので用いないようです。
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