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#研究

【書籍紹介】明和政子(2006)『心が芽ばえるとき ‐ コミュニケーションの誕生と進化 ‐』NTT出版.

 進化と発達というテーマについて取り組んできた、著者の研究がわかりやすく書かれている。 ヒトとチンパンジーの、胎児期から生後1歳くらいに焦点をあて、まとめられている。 見つめあうこと、顔を見あわせあうこと、笑いあうこと、声をかけあうこと、触れあうこと、真似あうことなどにふれられながら、ヒトらしさについて論じている。

 関係文献
川合伸幸(著)『心の輪郭 ‐ 比較認知科学から見た知性の進化 ‐ 』

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【記事抜粋】排泄について(山際寿一(2006),日本経済新聞/夕刊「あすへの話題」2006年12月21日)

「人間の子どもにとって、ひとり立ちする前に経験する難行が二つある。 食卓とトイレの作法である。 これは、人間が霊長類の一員であって、その遺産を色濃く身体に持ち続けていることからくる問題である。昼行性のサルの多くは甘いフルーツを食べて暮らすように進化してきた。 これは植物との共進化の産物である。 サルたちの故郷にあたる熱帯雨林では樹冠が日光をさえぎり、林床まで光が届かない。 そのため種子がそのまま地

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【記事抜粋】食事について(山際寿一(2006),日本経済新聞/夕刊「あすへの話題」2006年12月5日)

「 … サルにとって、味覚は食べごろの食物を選ぶために重要だ。 植物は食べられたくない葉や未熟果を苦みや毒で防御しているからである。 しかも、いつも個食のサルにとって、味覚は仲間と確かめ合うものではない。 おそらく人間の味覚も、最初は個人で腐敗した食物や毒物を区別できるように発達したのだろう。いつ頃か、人間は仲間と食事を楽しむようになって、味を共有する必要が生じた。 でも、視覚や聴覚のように味覚を

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【記事抜粋】模倣や学習について(山際寿一(2006),日本経済新聞/夕刊「あすへの話題」2006年12月12日)

「 … 他人の行動をうわべだけまねることは、猿のような卑しい行為と言われている。 でも、動作を即座にそっくりまねられるのは実は人間だけなのである。 …では、なぜ人はたやすく他人のすることをまねられるのだろうか。 それは、すぐに他人に同化して、その行為を繰り返せるからだ。 人は誰かになった気持ちになることが得意である。 とくに、自分が憧れたり尊敬している人の動作は、無意識のうちに身についてしまう。知

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