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【論文要約】竹内康二・山本淳一(2004) 発達障害児の教科学習を支えるセルフモニタリング(研究時評). 特殊教育学研究, 41(5), 513-520.
学習参加や不適応行動のために、カリキュラム整備や指導技法の適用に加えて、子ども自身が、教科学習に影響を与える要因や条件を制御するスキルをもつことが重要である。 それは自己制御スキル(self-controlまたはself-regulation)といい、大きく6つある(Zimmerman & Risemberg, 1997)。 ①動機づけ(目標、強化子、罰などの自己設定)、②学習方略の適用(リハーサルや要約などのスキル)、③時間の使い方(課題に必要な時間の推定やプランニング)
【論文要約】谷晋二(2001) 発達障害幼児の言語指導. 日本行動分析学会(編), ことばと行動, ブレーン出版, 237-259.
応用行動分析学は、まったく話しことばを持たず、ことばの理解も極端に限られていて、自閉的傾向を示す発達障害児に、ことばを教える試みを行い成果をあげてきた。 これはLovaas(1987)やGreen(1996)等に詳しい。 Lovaasらは、「座りなさい」等といった指示し従うこと、攻撃行動や自己刺激行動といった不適切な行動の減少からはじめること、療育者との一対一で着席した指導をおこなうこと、週20~40時間の指導時間を必要とする。 だが、より指導の効率化を図るためには、どんな
【論文要約】山本淳一 (2002) 自閉症児のコミュニケーション支援 ‐ 応用行動分析学から ‐ ([特集]自閉症児とコミュニケーション). 発達, 92(23), 38-46.
① 応用行動分析学から自閉症児のコミュニケーションを支援する : ABAは、ヒューマンサービスの科学です。 この基本は、最新のデータにもとづいた効果的な支援ならびにその情報をフェアなかたちで提供することです。 より再現性のある支援方法を確立し、説明責任の確保を目指します。 サービス提供者の支援の力量をあげていくことといえるでしょう。 またABAは、技法も含んだ包括的で系統的な支援システムといえます。 「個人と環境との相互作用」という観点から支援方法を構築していきます。 ひと
【記事要約】佐久間徹(1998)「子どもを考えるための一つの発想」, 芦屋市立打出教育文化センター教材だより平成10年12月, 8号.
※下記の要約文の小タイトルは、私が勝手につけました。 事実 現実に、わからないという事実が私たちの目の前にあります。 理解、理解、理解、理解が大切だということは誰でも十分にわかりすぎるぐらいわかっています。 けれども、理解しなければならないというだけでやっていけるでしょうか。 どんな世界でも人間の知識や技術には限界があります。 専門家と呼ばれている人たちは、そんな状況に対して、実に巧みな理屈を作り上げ、物語を繰り広げます。 これらの現実と切り離された物語が、今日、子
【講演要約】佐久間徹「育児の行動心理学、発達障害児を中心に ‐ 強化して強化される関係 ‐ 」(中部行動療法・行動変容研究会四周年記念大会, 中京大学, 2005)
ABAの基本は、三項随伴性(事前の出来事 ⇒ 行動・反応 ⇒ 事後の出来事)です。 とくに行動・反応と事後の出来事との関係性に注目します。 この枠組みにもとづくと、行動の予測と統制(こうであればこうなるだろうということ)、行動の機能の同定(当該行動の果たす目的をみつけること)、適応行動の形成が可能になります。 こうした背景には、オペラント条件づけ研究、スキナーの言語行動理論等々があります。 生活の中で、自発的な行動、適応行動の形成を目指します。 自発的な行動を育てるため
【論文紹介】大野・杉山・谷・武蔵・中矢・園山・福井(1985)「いわゆる「フリーオペラント」法の定式化 – 行動形成法の再検討 -」(筑波大学 心身障害学研究, 9(2), 91-103)
わが国の、行動論(行動療法・応用行動分析学)による療育アプローチに、<フリーオペラント法>と呼ばれるものがある。 Koegelらの<Pivotal Response Treatment>とも重なる点をもっている試みだ。 久野能弘先生や佐久間徹先生が報告した試みで、 いっぱんには三つの流れがあるとされている。 そのうちの一つに、HIROCOと名づけられた試みがある。 それがこの論文、「いわゆる「フリーオペラント」法の定式化 – 行動形成法の再検討 -」(筑波大学 心
【論文解釈】望月昭(1993)「行動福祉」という立場は成立するだろうか‐障害児者福祉の研究・実践パラダイムとして‐. 行動科学, 32(2), 56‐59.
本論文は、行動分析学の“最もふさわしい消費の場は、「臨床」や「教育」よりも、むしろ「福祉」と呼ばれるものではないか”、“福祉には、ヒューマン・サービスとしての科学的方法論が存在しない”という問題提起がなされている。 そこで筆者は、行動福祉学の提唱、行動福祉学の基本と作業方針の確認、行動福祉学とノーマライゼーションのとの兼ね合いを述べ、福祉のあり方を模索している。 取りあげられた内容は、非常に有用で、生産的な論点を提出しているように考えられる。 筆者によれば、行動福
【論文要約】望月昭(1989)福祉実践の方法論としての行動分析学‐社会福祉と心理学の新しい関係‐. 社会福祉学, 30(2), 64-84.
徹底的行動主義(radical behaviorism: skinner, 1938)の立場から福祉実践の方法論を検討し、支援枠組みを提案する。徹底的行動主義は方法論的行動主義とは異なり、またワトソンの初期行動主義「素朴環境論」とは一線を画する。 今日、行動療法やオペラント条件づけの知名度は向上している。しかし、技術面が強調されるに留まっている。徹底的行動主義の見方や方法まで取り上げられることは少ない。徹底的行動主義を土台にする行動分析学の研究では、交通問題等を取り上げた
【論文要約】Baer, D. M., Wolf, M. M. & Risley, T. R. (1968) Some Current Dimensions of Applied Behavior Analysis. Journal of Applied Behavior Analysis, 1, 91-97.
応用行動分析(ABA)では、次のような事項が求められる。①応用的、②行動的、③分析的、④技術的、⑤効果的、⑥概念体系的という次元、これに一定の⑦一般性をいえる必要がある。こうした事項を通じて、社会への還元・貢献も目指す。 ①の次元: 取り上げる事柄の重要性、緊急性や波及性(応用的)。 ②の次元: 目標行動、数量化、観察や記録(行動的)。 ③の次元: 関数関係、予測と統制(分析的)。 ④の次元: 随伴性をふまえた手続きの明確な記述(技術的)。 ⑤の次元: 必要なだけの十