自分を愛でる:サラリーマンが幸せになる方法 その41
これは、サラリーマンが幸せになるために「ありたい自分( being )を軸に持ち、ありたい自分を良好な状態( well-being )にし続けること」について書かれた note です。
自利利他円満
2021年3月20日~21日にかけて開催された Shiawase2021 (Shiawseシンポジウム)で、私が参加している well-being 研究会の成果発表を行いました(応募型参加)。
やっと大っぴらにその成果物であるパターンランゲージ(*1)からも、当コラムのネタを取り上げられます。嬉しい。
その Shiawase2021 の基調講演で住職の川野泰周さんが「自利利他円満」という大乗仏教の言葉を述べられ、今年のシンポジウムの幹となるワードとなりました。実は基調講演を視聴できてないのですが、この言葉に運命的なものを感じました。
言葉の意味は所説あるので深入りしませんが、「利他の前にまず自利があり、自利であることが利他となり、利他であることが自利となって、すべて円満となる」という個人的な解釈です。
奇しくも、同じシンポジウムで発表した私たちのパターンランゲージもこの「自利→利他→円満(個→組織→世界)」という構成になっていて、well-being の探究者・実践者はアプローチは違えど目指すところは同じなのだと感銘を受けたのです。
今回はスタート地点にして原点。
「自利」について考察します。
(*1)パターンランゲージとは:「何かいい」「ちょうどいい」といった暗黙の集合知を言語化して分類し誰でも再現できるようにする手法。
最も基本
私たちの well-being 研究会では、幸せや well-being について探求を続けていくうちに自然と「自分自身が well-being であることが全ての基本」だと考えるようになりました。
困窮または要救助の状態で、誰かを幸せにできるでしょうか?瞬間的な自己犠牲で援助はできるかも知れません。しかしサスティナブルではありません。それは私たちの目指す well-being ではないのです。
well-being とは良い状態が長く続くこと。
すると自分を良い状態に保つことが最も基本と言えます。
誰かに手を差し伸べる前に、
常に自分に手を差し伸べるのです。
ネガティブに敏感
自分を良い状態に保つ。
というとポジティブシンキングを思い浮かべる人もいるでしょう。ただポジティブであろうとし過ぎ、ネガティブな感情に蓋をして見てみぬふりをするのは問題があります。
ネガティブな感情をポジディブで抑え込むやり方は、やがて抑えきれないネガティブの波がきた時、ポジティブに成れない自分が悪いと考えてしまうそうです。そして原因は全て自分にあるととらえ、鬱になりやすいことが分かっています。
感情をコントロールする脳の偏桃体では、ニューロンの3分の2をネガティブ反応に、3分の1をポジティブ反応に使っているそうです。つまり人間の脳はは、ポジティブよりも2倍もネガティブなことを考えるようにできているというのです。
強力な肉食獣が跋扈する世界で人類が生き延びるためには不安をキャッチする能力を高める必要があったわけです。しかし現代になってこの偏りが問題となりました。
ネガティブな感情をもってしまうのは、あなたのせいではありません。人間の脳がそう作られているからなんです。負の感情が沸き起こるのは自然な事なんです。あなたは正常です。
むしろ脳科学的にはポジティブしかない人の方が心配ってことです。
自愛・慈愛
では自然なネガティブ感情を抱えどう自分を良好に保つのか?
最近よく自己肯定感の重要性が語られるようになりました。自己肯定感とは「自分は価値がある存在である」と積極的に肯定することです。
しかしそのベースとなる自己受容についてはあまり知られていないように思います。自己受容とは「良い面も悪い面も、すべてありのままの自分を認知し、ありのままに受入れる」ことです。
自己受容のない自己肯定感は「〇〇だから自分は価値がある」、と条件付きの自己肯定感になりやすいそうです。すると〇〇じゃない状況を恐れ、排除しようとし、他者を否定してしまう。
だから、そうじゃないイケてない自分も受入れ、なおかつ価値があると肯定することが重要なんです。
良い面、悪い面を含む自分の多面性を「評価」するのではなく、ただ観察し、存在を認め(認知)、受入れる(受容)。
観察して認知し受容し、
そして全肯定する。
飾る必要なんてないんです。
あなたはそのままで素晴らしい。
その考え方を自分に許してあげてください。
そして心を支えるのは身体。
身体が疲れてくると、心も疲れることは言うまでもないですよね。それなのになぜか無理して頑張ってしまう。過度の疲労は回復できず蓄積し、やがて心身の疾患の原因となります。
心を愛でる慈愛。
身体を労わる自愛。
全ての well-being がこれをベースとしていると私は考えています。まず疲れている自分に気付いてあげる。気付いたら労わる。無理は止める。「美味しい」と思えるものを食べる。お風呂にゆっくり浸かる。質、量ともに良い睡眠をとる。少し汗をかくような運動をする。草木、自然とたわむれる。ネガティブな状態だよって認めてあげる。それでも生きてる自分を褒めてあげる。大切な人を想い、話してみる。
大切な人を慈しむように、自分自身を慈しむ。
そんな人こそが well-being だと思うのです。
あなただけじゃない
自分を慈愛する、というとセルフコンパッションを思い浮かべる人もいるでしょう。マインドフルネスと同じく東洋思想が西洋から逆輸入されてきたものですよね。だから私は自愛・慈愛と言った方が、日本語ネイティブには伝わると思うのです。
ただセルフコンパッションも素晴らしい。
その手法でお気に入りのやり方をご紹介します。
1.ありのままに受け入れる
ネガティブな感情、苦しみ、悲しみ、苦痛、怒り。それらを客観的に観察して気付いてみます。自分をメタ認知するのです。
2.他の人も同じと考える
他の人も同じ状況になったこと、きっとありますよね。特にあなたの大切な人が同じ状況、同じ感情に苦しんでいたらどうでしょう?
3.やさしく声をかける
その苦しんでいる大切な人に声をかけるとしたら、何と言いますか?やさしく、労わって、否定せず、まごころから。その同じ言葉を、自分自身にかけてあげてください。
日本人は謙遜とか慎み深さを美徳とする文化で育ってきた方が多いので、自分を愛でると言われても困る人も多いのかな、と思うのです。だからこそ逆に、他人を尊重したりもてなすことは得意なのではないでしょうか。
他人を尊重するのと同じように自分を尊重する。
あなたはやさしくされていい。
私はそう思います。
まとめ
1.自利利他円満で世界を well-being に
2.まずは自利から
3.自分自身を自愛・慈愛で愛でる
私たちのパターンランゲージでは「自分を大切にすると、忘れていた自分らしさに再び出会うことができる」とを結んでいます。再び出会うって秀逸だなぁと自画自賛してしまいます。無いのでも、失ったのでもありません。忘れている、見失っているだけなんです。
自分を慈しみ、自分らしさを取り戻して、自分の魅力を再発見してみてください。
あなたのヒントになれば幸いです。
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