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まずは誰か1人から。

#就労支援の現場から

「相談したいことがあります」


ある日のプログラムの終わりに、そう言ってメモを渡してきた利用者さんがいた。

(そ、相談したいことがあります、、。)

「相談したいことがあります」と「話があります」という言葉は、何がというわけではないけれどどこか怖い。

その日はもう終わる時間だったので次の日時間を設定することにした。
いろいろ考えちゃうタイプの私は「なんだろう」とそのあともちょっと考えてしまった。

こういう考えってネガティブにどんどん膨らんでいくからよくない。だから考えるのをやめた。

*

次の日、予定通り朝イチでお話の時間を設けた。

その方は開口一番、ノートを開いて私に見せてきて、

「最近ちょっとモヤモヤしているんです」

ということを伝えてくれた。

ここでは深い言及はしない。
その方の中で、時間を掛けて土台をつくってきたその方の過程を知っている人たちからの声掛けと、ある程度土台ができてきてから知った私たちの声掛けのギャップにモヤモヤを感じていたのだ。

そのモヤモヤに悶々としていたときに、前者の人たちから、

「移行支援の人にもちゃんと伝えた方がいいよ。
それが伝える練習になるよ」

と言われ、私に声を掛けてくれたというわけだ。

その方の「できる」部分ばかりを見てしまい少し焦らせてしまったことに対しての申し訳なさと、勇気を出して相談してくれたことの嬉しさ。その両方があった。

ここで1回話はそれて。

ずっとその方を見て思ってきたことがある。

「結構自分と似ているタイプだな」

ということ。

一言でまとめると”考えすぎちゃうタイプ”
声として外に出す前に、自分の頭の中で考えすぎる。
「なんて思われるかな」「これ言っても迷惑だろうな」・・・・・
そうやって考えすぎちゃって、結局それで疲れて。

だんだんと話すの億劫になっていく。

やがていざ質問された時に、上手く自分のことや思っていることを伝えられず当たり障りのない回答をしてしまう、という。

まんま過去の私だ。

だけどそれじゃ苦しくなるのは自分自身だということを私は体感した。
自分自身で抱えきれなくなって、「なんとか変えなきゃ」と思い、今絶賛脱皮中。

きっとその方も、これから就職を目指していく中でここの壁をぶち破らないといけないなと感じたんだと思う。


じゃあ私が「変えなきゃ」と思い、今どうやって「脱皮」をしているのか。
そこを自分の経験も踏まえてお伝えした。

それは「書くこと」「話すこと」だ。

*

書くこと

私は今こうやってnoteにすごいアウトプットをしているけど、そもそもの話で言うと大学入学したくらいで「メモすること」にはまった。

とりあえず頭に残っているモヤモヤをノートに書きだす。
それを俯瞰で見る。自然とそれで少し整理されていく。
そこから派生して、日常の気づきやニュース、興味あることをまとめるようになった。

その方もノートに何かを書くことが好きという人。
土台は整っているじゃん、ということで、プラスアルファのこととして

「感想を付け加えること」

をオススメした。

1つの「事実」「事象」に対して自分がどう思ったかを書く。
自分が思ったことだから不正解なんてない。思ったことが正解だ。

感想とはつまり「自分の意見を持つ」ことでもある。それを書き出すことで、自分がどういう考え方をする傾向があるのか知ることが出来ると思っている。

話すこと

そしてもう1つ、話すこと。

まずこうやって相談してくれたことが嬉しいということをお伝えした。
私も似たタイプだからわかる。相談するということがどれだけ不安か、ということを。

それと同時に、一気に全員に対して同じように出来なくてもいい、ということも伝えた。もっと砕いて言うと、各居場所に1人でいいからなんでも相談できる相手がいれば大丈夫ということ。

私も信頼できる大学の先輩1人に初めて相談して一気に肩の荷がおりた過去がある。でも先輩にした話を同じように誰にでもできるわけじゃない。

最近は少しずつ話せる人が増えてきたけど、それでもまだまだ限られた人にしか話せない思いもある。でも最初はそれでいいと思っている。誰か1人でもいれば、絶対にその人が向き合ってくれるから

*

今回の件があって改めて自分たち「就労支援」というサービスの役割を考えさせられる。

とりわけ「就労移行支援」というのは就職だったり復職だったりに目が向きがちで、実際そこを目指していく人が多いのも嘘ではない。

でも就職することも復職することも、その方にとっての人生のゴールではない。その方がこの先よりよい人生を送っていくための選択肢として目指しているわけで、むしろスタート。大事なのはその方がこの先どんな人生を送っていきたいかに向き合っていくこと。

まずは自分たちが、「思ったことを伝えてもいいんだ」という雰囲気づくりをしていかないといけないな、と。

それによって思いを伝えた経験が、本人の自信にもつながっていくはず。

役割を再考する機会となった。


最後に、
「気が向いたらnoteも書くにはいい場所ですよ」
と伝えておいた(笑)

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塩浦良太
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