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言葉の保存
あの時語っていた「夢」はどこにいったのか。
あの時言っていた「好き」はどこにいったのか。
あの時目指していた「成長」はどこにいったのか。
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言葉って不思議だ。
文字の形は変わらないのに、意味だけが上書き保存されていく。
それがいい方向に変わっていくものもある。
どんどん夢が大きくなったり、どんどん好きが大きくなったり。
その一方でどんどん「小さく」なっていくものもある。
あの時言っていた「絶対」は今はもうなくて。
声高らかに語っていた夢は、「そんなことも言ってたな」なんて風に変わっている。
”言葉も保存が効けばいいのに”
意味や思いが上書き保存されていくのは、いろんな現実を知っていくからで。自分自身がいろんな人と出会い、いろんな経験をしていくからで。
自分1人に向けた言葉だったら、過ごしてきた人生に良くも悪くも原因があるから納得がいくけれど、誰かとの間で語り合った言葉の意味の移り変わりは、自分だけじゃどうしようもないことだってある。
なんせそこに存在するのは自分の人生だけじゃないから。
相手の人生も同じように流れているから。
相手の人生なんか当然自分が邪魔できるわけない。
「なんで」とか「どうして」などと思うことがあっても、
時には”しょうがない”の一言で片づけておいたほうがいいこともある。
一番好きな、大事にしたい「意味」のところでセーブをして、ちょっと言葉の意味が変わってきそうになった時にリセットしてまたやり直す。そんなことができたら苦労しないんだろうけど、でもまた戻ることができたらそれはそれでつまんないと思うのかもしれない。
欲張りだ。
まあそうは言っても結局は過去には戻ることができないのだから受け入れていくしかない。変化していくことを楽しむしかない。
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成長していくにつれて変わっていくものがある。
その一方で変わらないものもある。
変わっていかなければならないものもある。
変えちゃいけないものもある。
変わっていくという事実に抗うことはできないかもしれないけど、「これだけは変えたくない!」と思うものはずっと守れるようにしたいなって思う。
そのためには言い続けるしかなくて。
定義し続けるしかなくて。
その定義に合わせた行動をし続けるしかなくて。
それと並行して変わっていく面白さも噛みしめながら。
何はともあれ、私たちにできることは「今」を全力で後悔なく過ごすことだけなんだろうな、って思う。
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