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周りは一同にそう言うけれど。

#就労支援の現場から

就労移行支援を利用して最近就職を果たした方がいる。
人生で初めての就職。

就職したら職場でに定着できるかサポートをしていく。それも移行支援の担う役割の1つ。身体面と精神面に本人は不安を抱えていて、私としても精神面の不安は特に心配をしている部分。

だって身体面は何も知らない外の人でも目で見ればなんとなくわかるから。だけど心の部分は外側に現れづらいから何も知らない人は気づきにくい。だから事前に企業の方にお伝えするし、紙にまとめたものもお渡しする。

それでも完全に伝わるとは限らないのが難しいところで。
あの人は知っているけど、この人は知らない、みたいな状況が起こりうるのが難しいところで。


一週目はやはりこちらとしてもすごく不安だから頻繁に連絡をとる。
案の定、「洗礼」を浴びているような印象だった。

「一気に教えられて頭がパンクしそうです」
「1日終わるだけでドッと疲れが出ます」
「このままだと耐えられないかも」

そういった不安を私しかり、家族だったり自分を支援してくれている方々に話していたそうだ。

私としては、

「難しいことがあったら『難しいです』と言っていいんですよ!『少し休んでもいいですか?』だって」

言葉のニュアンスの違いは多少あれど、そうお伝えした。SOSを発信できるのは自分自身だから。どうやら他の相談した方々にも似たようなことを言われたらしい。

ただその方はこう言った。

「周りの皆さんはそう言ってくれるけど、それができないんです。言えないんです」

なんだかすごくハッとする感覚だった。結局自分たちが言ってるのは正論だったな、と。

これは正論を言うのが悪いとか、それを実行できないのが悪いとかそんなことでは全くなくて。言わば「誰も悪くない」のだ。だから難しいことでもあるが。

なぜなら声をかける側も、その人のことを思って何が最善か考えて声をかけている。そして何よりも周りの人間がその人のことを変えてあげることはできない。だから何かいい案を提示するしかないのだ。

ただ本人だって「それが出来るんだったらやってるよ」という気持ちになるのもわかる。それが難しいから悩んでいて困っている、と。

正論が必ずしも正解じゃない難しさ。
かといってこれといった正解がない難しさ。

周りが一同に同じことを言っていたら逆に苦しくなるかもしれない。
だけど大事なことだから結局その考えに終着する。

じゃあどう伝えていけばいいんだろう。
これって永遠のテーマな気がする。


最近思うこと。
それは、やっぱり「逃げ道」のある伝え方なのかな、と。

0か100で伝えようとしない。
「〇〇出来たほうが自分が楽になるよね」と伝えながらも、「それが難しい場合は、、、」と別の選択肢も提示する。

別の選択肢が提示されることで、「絶対〇〇である必要はないんだ」という余裕が生まれることで、気持ちが一気に楽になるんじゃないだろうか。

「無理して〇〇しなくてもいいよ」と言われることで、かえって吹っ切れてその〇〇ができる可能性も生まれるとも思う。

答えが1つであることはすごくわかりやすいし、目指しやすい。
そのように伝える方が正解な人間だっている。

一方で、その1つの正解が「いい」と分かっていても、実現することが難しいがあまりに「理想と現実のギャップ」に苦しむ人だっている。


正論ばかりいわない、とか
逃げ道を用意する、とか、
いろんなことを書いてきたけれど、そういったたくさんの装備を抱えたうえで最後は、

「その人(相手)がどんな人かを知ること。その人に合う伝え方をすること」

これに尽きるんだろうな。

ただこれは引き続き永遠のテーマではあると思うので、考え続けていきたいところだ。

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塩浦良太
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