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派遣スタッフの教科書~派遣で働くコツ~ 【派遣スタッフの基礎知識】⑨「労働契約申込みみなし制度」
こんにちは!
派遣スタッフの教科書と銘打って、人材派遣で働く方向けのTipsを紹介していきます。
【派遣スタッフの基礎知識】編の第9弾!
「労働契約申込みみなし制度」
行ってみましょー!
「ひたすら具体的」で「生々しく」派遣スタッフの教科書を作るという狙いなので、僕の独断で、派遣で働く人が知っておくと良いことについて超実践的に解説していきます。
シリーズのマガジンはコチラ↓
※僕は事務系の一般派遣の営業経験が長く、ここでは主に登録型の人材派遣についての解説が中心になります。
「労働契約申込みみなし制度」とは
人材派遣で働く方に知っておいて欲しいことの一つに「労働契約申込みみなし制度」というものがあります。今まで解説したものより知名度は低いですがぜひ、知っておいてください。
これは、違法に派遣された労働者は、その派遣先から労働契約を申し込まれたものとみなされるというものです。
「労働契約申込みみなし制度」とは↓(厚労省リーフレット)
↑リンクによると「労働契約申込みみなし制度」とは、
【対象】 違法な労働者派遣で派遣された派遣労働者
【内容】 派遣先が、違法な労働者派遣を受け入れた場合、その派遣労働者に対して労働契約の申込みをしたとみなされる場合があります。
とあります。
もともと海外で同じような規定がある国があるのですが、違法状態の場合に派遣先が同じ条件で直接契約を申し込んだとみなされるというものです。
具体的に「労働契約申込みみなし制度」の対象となる違法派遣とは、次のケースを指します。
①派遣禁止業務で派遣労働者を受け入れた場合
②無許可・無届の派遣元事業主から派遣労働者を受け入れていた場合
③派遣可能期間を超えて派遣労働者を受け入れていた場合
④いわゆる偽装請負で受け入れていた場合
①は港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療業務、士業といった、禁止業務に派遣されるというものです。
一般的に派遣で働く方が巻き込まれることはあまりないです。
②も、さすがに無許可の派遣会社なんて怪しすぎて気がつきますよね。(たぶん・・・)名前を聞いたことある派遣会社であれば、基本的に問題ないはずですし、気がつきやすいかと思います。
③は事業所ごとの派遣労働者を受け入れられる期間を超えた場合や労働者代表の意見聴取を怠った場合です。
詳しく知りたい方は↓が参考note。派遣先企業にも派遣を使うことが出来なくなる抵触日があるとご理解ください。
④の偽装請負は、派遣契約ではなく、請負の契約の拠点で働くことになったケースで、請負契約のお客様(派遣で言えば派遣先)の企業から指揮命令を受けるなどがあれば、派遣法から逃れるために実質派遣契約なのに請負契約にしているという違法行為です。
派遣で働く方が疑問に思ったり現実に違法状態になり得るもので言うと②と④で、現実的には④偽装請負は特に要注意かと思います。
派遣契約ではなく請負契約なのに違いが分からない場合、怪しい
派遣会社に登録して仕事紹介を受けようとすると時に「派遣契約ではなく請負の契約の拠点です」という案内で仕事紹介をされることがあります。
これは、派遣とは違い、クライアント企業の指揮命令を受けずに、仕事そのものの成果を約束し、委託を受けた会社がその成果を納品する契約です。
企業からすれば丸ごと業務を投げることが出来るので請負契約を選択することになります。
ただし、それだけではなく、派遣契約だと派遣法の制約を受けるのであえて請負契約を選ぶこともあります。
代表的なのは↓3年での抵触日など。
その場合に、指揮命令がなくできていれば問題ないのですが、指揮命令を受けたまま請負契約をすると、実態は派遣なのに派遣法の影響を受けないよう逃れているという意味で違法行為になります。
そして、最近、偽装請負のみなし雇用について初めての最高裁判決が出ました。
今回の訴訟では、住宅建材大手の東リ(兵庫県伊丹市)の工場で仕事を請け負っていた会社の社員だった5人が東リを訴えた。2017年に東リと請負会社の契約が終わった際、業務は別の派遣会社に引き継がれたが、5人は派遣会社に採用されなかった。5人は、偽装請負があったとして、東リと直接の雇用関係があると主張していた。
その1人、藤沢泰弘さん(59)は床の接着剤をつくる工程で働いていたが、接着剤の粘度が不足している、空のドラム缶が崩れないように――といった指示を東リの社員から受けていたという。「製造作業に直接関係ない指示も頻繁に受けていた」と話す。
一審の神戸地裁判決は偽装請負はなかったとして請求を棄却したが、大阪高裁は昨年11月、一審判決を取り消した。東リが直接、5人に指示する一方、請負会社は5人の労働実態を把握していなかったとして、「偽装請負の状態にあった」と認定。直接の雇用関係があるとして未払い賃金の支払いを命じた。
みなし雇用については、必ずしも正社員にすることを意味するのではなく、その時点で事業主(今は派遣会社を指す)と結んでいる雇用条件と同じ条件の契約を申込んだということになります。
例えば3カ月契約の雇用であれば、その時の雇用契約の期間満了までが直接契約になることになります。
この場合は期間の定めのない雇用だったようで、判決確定の日までの未払い賃金が争われたようです。
そして、その未払い賃金の支払いが命じられました。
人材派遣会社が雇用主であり、上手に利用していただきたいですが、ある意味では身内であることを考えると、何でもかんでも「みなし雇用ガー!!」とか言っていると少し嫌がられそうです。(別に言ってもいいけども)
普段からそんなに過剰に気にしたり主張することをオススメするものではないですが、やっぱりこのあたりのルールをしっかり理解している方がスタッフさんだと、僕ら側も襟が正させる部分はあります。(もちろん、普段からちゃんとしていたいと思っています)
派遣先企業にとっては、この「労働契約申込みみなし制度」は急に直接雇用の人員が増える点で重たいルールです。
そして、派遣スタッフにとってもメリットが出る場面もあると思います。
是非、知っておいていただき、より一層派遣サービスをうまく利用し、ご自身を守るために活用いただければと思います。(違法状態で派遣するような派遣会社や派遣先が根絶されるのが一番大切ですが・・・)
最後に
今日は、「労働契約申込みみなし制度」についてお話しました。
ちなみに、この制度は違法状態が認められて一年間は申込みが発生している状況になります。
すぐに承諾しなくても一年の間は、いつ承諾しても有効ですので、それも知っておいていただけると良いかと思います。
次回は、実践編に突入し、「派遣会社の選び方」についてお話しします。
では、また!
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