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【読書感想文】少子化~女“性”たちの言葉なき主張~ #1166

こんにちはー!
今日は、海老原嗣生さんの新著、「少子化~女“性”たちの言葉なき主張~」の読書感想をお話しします。

やっぱりすごい読後感

女性のキャリアとおよそ18年向き合ってきた僕にとって、人材サービスに携わり続けたい僕にとって大切な知識と姿勢を書籍で教えてくださっている海老原嗣生さんの新著がでました。
特に女性の比率の高い人材サービスに携わる方は必読の本だと思います。

そして、拝読した最初の感想は・・・
すんごい悩ましい読後感!ということです。
僕は読んだあと2時間ずーっと座ったまま考えこんでしまいました。

ちなみに、同じく海老原嗣生さんの「女子のキャリア ──〈男社会〉のしくみ、教えます」を読んだ時も1時間くらい考え込みました。

(↑なんと、11年前の書籍らしいです!僕も歳をとるわけですw)

「女子のキャリア ──〈男社会〉のしくみ、教えます」を読んだ方はわかってくださると思うのですが、今回の「少子化~女“性”たちの言葉なき主張~」も内容としては同じ主張と提言です。
いや、同じ主張をさらにはっきりと立場を明白にし、男性のミドルも含めた社会形成のための「洗い替え方式の査定」という提案とともに、若くして結婚・妊娠をしない生き方、本当の男女平等に向けての提言をなさっている本です。

この2冊に続いている、嘘や大袈裟、データの恣意的な活用もなく、女性が必ずしも若年で出産する必要はないのではないか?という主張は、働く女性への福音書と言ってもいいかもしれません。

単純な福音書ではない

福音書なら、それでいいじゃないか。なんで読み終わって2時間も考え込むんだよ?
という話なのですが、ことはそう単純じゃないのが、女性の働き方ですし、この海老原嗣生さんの提言なのです。

詳しくはぜひ、書籍を読んでいただきたいのですが、この中では以下のような提言がなされます。
「確かに若い方が妊娠・出産におけるリスクは低い。しかし、35歳以上の方が必ずしも妊娠がしにくくなる、生まれてくる子供に影響があるか?といえば、それは誇張されている。データとファクトを丁寧に紐解けば、年齢とともに妊娠しにくくなる一部を除き、現在の論調ほど年齢により妊娠リスクが上がるわけではない。だから、35歳を超えても悲観する必要はないし、40代の出産も視野に入れたキャリア形成もできる。」(ざっくり要約。本当にざっくり。)

決して、高齢での出産を推奨しているわけではないですが、若くなければいけないという呪いからは解き放たれてもいいのではないか?と教えてくれるのです。

この提言は、女性の働き方の最前線で実務をしてきた僕にとっても、すごく納得感もあり、そして、頑張って働いてきた女性への優しささえ感じるものです。
でも、それでも僕が悩んでしまう点が2つあります。

若い方が妊娠しやすいことは事実

一つ目の悩みポイントは「それでも若い方が妊娠しやすいことは事実」ということです。
何を隠そう、僕は11年前の「少子化~女“性”たちの言葉なき主張~」を読んだあと、今以上にこの提言に救いを感じ、1人の派遣社員の方へこの話をして、泣かせてしまっています。
もちろん、海老原嗣生さんの主張が悪いのではなく、それを単純化して、言葉選びも間違えて”まるでわかっているかのように”話した僕の未熟さのせいです。
その時の、
「櫻井さんはそんな風に簡単にいうし、確かに35歳すぎたからって妊娠しないとは限らないんだろうけど、若い方が有利なのは事実でしょう。それに義理の親のプレッシャーとか周りの目とか知らないから言えるんですよ。何もわかってない!」
と言いながら泣いていた彼女の顔は忘れられません。(本当にすみませんでした)

重ね重ねですが、今回の書籍でも前回の書籍でも(特に今回の書籍は)、周囲の心、女性自身の心、男性の心、様々な角度から日本全体の心をアップデートする必要があることがとても丁寧に記されています。

僕が必要な慎重さを欠き、近しくもない方の心にずけずけと入っていったのが本当に反省点なのですが、それでも、いたずらに高齢出産を推奨するように捉えられかねない話をするべきなのか、それ以降とても悩みましたし、今も悩み続けています。

当事者じゃない

そして、僕が悩んでしまう2つ目のポイントが「当事者じゃない」ということです。
僕は男です。しかも奥さんは専業主婦で、今時珍しい昭和スタイルの家庭です。(もちろん、生活は楽ではありませんw)
女性でないどころか共働きでさえもない僕が、男女の平等についてポジションを取るのは抵抗があります。18年も女性の働き方の最前線にいても・・・です。

例えば、僕は、LGBTQの方の話の中でも、著名でLGBTQをオープンにしている方が「誰でも使えるトイレなんて気にしすぎだ」なんておっしゃると、当事者はそんなものなのかな?って思いますし、それに対して、「いやいや、あなたは著名人でオープンにしているくらいの方だからで、本当は傷ついている人がいるのだ!」とは主張しにくいです。当事者でもないのに品がないし、わかったような言い方は良くないよな。と思ってしまいます。

女性の働き方の問題も同じような場面は多くあります。
スーパービジネスウーマンで、子育てもしている方が、他の女性に対して「甘えている」と表現する場面に僕は何度も遭遇しています。

間違いなく、昭和の時代よりも女性は働きやすくなりました。これからさらに女性の管理職も増えていくことでしょう。そんな中、今、懸命に出産や育児とキャリアを両立している女性も増えてきています。
一見優しかったり、正しかったりするその主張が、今頑張っている女性にとっては否定に近い響きを持つかもしれません。逆に女性はそこまで気にしていなくて、すでにかなり現状を肯定的に捉えているかもしれません。
その中で、男性である僕は、どのような意見を持つことができるのでしょうか。そもそも、意見を持つべきなのでしょうか。

それでも僕も主張しようと思う

「少子化~女“性”たちの言葉なき主張~」は4月に入る頃には僕の手元に届いていました。
実は、この悩ましさから、感想を書くのをやめようかとさえ、思いました。(誰にも頼まれてないし、やめていいんですけどもw)でも、僕も女性のキャリア論に答えを出しておきたいと思います。これだけのデータと歴史的背景という材料をもらっているのだから。

そんな風に思ったきっかけは表紙です。

笑顔で手をあげる女性に見えない形で、手前の女性が泣いています。
これは、僕が一番みてきた、スーパービジネスウーマンではない派遣などの働き方で目の前の仕事と家庭に向き合っている”ビジネス書には出てこない女性”の姿なのではないでしょうか。
当事者の方が言葉にできないことはあるのではないでしょうか。この書籍でも語られますが、より男女平等が近づいてくれば、女性自身が「言われる側」に回る日もあるかもしれません。
その時に、僕たちは当事者じゃないふりをして、少しずつ変わっていく常識や世の中を、ただ見つめるだけでいいのでしょうか。

女性が犠牲になっている時間は少しでも短くて、男女が本当の意味でフェアで平等である世の中の方がいいに決まってますと僕は思います。多様な働き方が男女ともに認められる世の中がいいです。

僕はよく、「難しいことを極端に簡単に言う奴はアホ」と言いますが、40代でも出産を諦める必要がないという常識へのアップデートは、難しいことや繊細なことを、難しくて繊細なままで理解しなくてはなりません。

僕も、この難しさと繊細さを持ったまま、悩みながら、早く常識をアップデートして、より良い未来を迎えにいくような活動をしていきたいと思います。少なくとも、昭和時代に戻るはずはないわけで、男女の役割の常識が変わっていくことは決定事項なら、早く素敵な未来を迎えにいきましょう。

決して高齢出産を進めるわけではないですが、本当はもっと選択肢はあるし、もっと多様な働き方やライフスタイルは作れるのではないか?
そんな思いで、これからも働き方の最前線で選択肢が少しでも増える仕事をしていきます。

最後に

今日は海老原嗣生さんの新著、「少子化~女“性”たちの言葉なき主張~」という本の感想文を書きました。改めて、この書籍での主張の優しさと強さに考えさせられる時間になりました。
読む人によっては詭弁に読めたり、過激すぎる主張に読めたりするであろう内容を、言葉を選び、ファクトを示し、データを重ねて丁寧に提言されていることに尊敬の気持ちを感じるとともに、見習っていきたいと思いました。
HR界隈の方は必読の参考書ですので、ぜひ読んで感想を語り合いましょう。

では、また!




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