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【読書感想文】不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか #1153


こんにちは!
今回は、鴻上 尚史さん著『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』の読書感想文です。

僕は夏が来ると太平洋戦争、日本人としての自分の先輩たちに思いを馳せることが多く、最近は暑くなってきているので7月くらいに必ずこの本を読み直します。


実在する人物の話

この本は、太平洋戦争の特別攻撃隊として、特攻を前提としながら9回生還した実在の人物(佐々木友次氏)へのインタビューをもとに書かれたものです。
美しい志を描いたドラマや小説、逆に悲惨さが伝わってくるドラマや小説と異なり、ありありとしたリアリティを感じるものになっています。(著者の筆力も素晴らしいのだと思います)

以下、Amazonより。
太平洋戦争太平洋戦争の末期に実施された”特別攻撃隊”。戦死を前提とする攻撃によって、若者たちが命を落としていった。
だが、陸軍第一回の特攻から計9回の出撃をし、9回生還した特攻兵がいた。その特攻兵、佐々木友次氏は、戦後の日本を生き抜き2016年2月に亡くなった。
鴻上尚史氏が生前の佐々木氏本人へインタビュー。
飛行機がただ好きだった男が、なぜ、軍では絶対である上官の命令に背き、命の尊厳を守りぬけたのか。

我々も同じ状況になったとき、佐々木氏と同じことができるだろうか。
戦後72年。実は本質的には日本社会は変わっていないのではないか。
本当に特攻は志願だったのか、そして、なぜあんなにも賛美されたのか。
命を消費する日本型組織から、一人の人間として抜け出す強さの源に迫る。

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僕は以前から戦争に関する書籍や映画が好きでしたが、神風特攻隊に関しては、かなり美化した理解の仕方をしていました。その勇敢さと愛国心ゆえに、葛藤しながらも自ら特攻に向かったのだと思っていました。
背後にある個々の動機や心理状態については深く知る機会に恵まれ、この本を手に取って良かったと思っています。(手に取ったのは、本屋さんでふと目に止まったからなんです。幸運。)

特攻とはなんだったのか?

『不死身の神風特攻隊』を読み終えた後、僕の中で特攻隊に対する理解が大きく変わりました。
僕らの現代を創り、若くして犠牲になった僕らの先輩は、僕らと変わらぬ感覚を持ったただの若者だったのです。
そして、良くも悪くも、日本は今と変わらない、空気みたいなものに押されて意思決定をしたり、本当は個人の意見があるのに集団圧力により、短絡的で合理的ではない判断に身を委ねていました。

全員が国のためという思いと圧力と生への渇望のなかで、葛藤しながらも愛国心とはどこか異なる集団圧力の中でもがいている中、万が一生きて帰ってきても死ぬまで特攻させられたり、銃殺の命令が出たり、生きていては不都合な存在になる様なんかは、苦しさと切なさと、愚かさみたいなものでドロドロになり、表現ができない感情になりました。
そして、感想文を書いておいておかしな話ですが、僕がそれに何か言及することなんて烏滸がましいのではないか、ありありと想像することさえ叶っていないのだろうと思っています。

ただ、ひたすらに、僕が信じていたような「愛国心ゆえの、家族や日本国のための特攻」だなんて単純に表現できる話ではないということに胸が苦しくなります。

死ななくても、戦果を上げられる

そして、何よりも僕がこの本で心打たれるのは、9回生還した理由が、死ぬのが怖いからではないことです。
自分の技術であれば、死ななくても戦果を上げられるし、生還すれば何度も最前線で活躍できるから、馬鹿げた作戦として特攻に反対していたということです。

9回生還した佐々木さんは、国を思うからこそ、技術的にも状況的にも無意味で、命と飛行機を無駄にするこの作戦に反対していたのです。
そう考えると、特攻を命じた人や、作戦を決めた人、それに従い命を投げ出した人たちよりも愛国心があるのではないでしょうか。
では、逆に特攻を実行した人たちは愛国心がないのでしょうか。
そんな単純な話ではないことは分かっていながら、僕の頭の中はぐるぐるしてしまいます。

そして、若くして犠牲になって、現代まで橋をかけてくださった先輩たちに感謝した上で、スケールは違えども、父として、ビジネスパーソンとして、空気だけに支配されずに、本当に社会やビジネスや家族に対して意味のある戦い方はなんなのかを考えていきたいと思うのです。
特に、自分が意思決定者として誰かにお願いをするときは、良かれと思って特攻を指示していないか、それだけは現代を生かしてもらえているものとして、真摯に向き合いたいと思うのです。(もちろん、何でもかんでも上官に反抗すればいいわけではないですが)

最後に

「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」は、ただの戦争記録を超えた、特攻隊員たち一人一人の思いや苦悩を通じて、戦争の本質と人間の尊厳について考えさせられる一冊です。
本当に国や社会のことを考えたときに間違っていると確信があっても、そのときに自分を賭けて、上官(会社の上司や社会の決定事項でしょうか)にあらがうことができるのか。自分の誇りと覚悟を確認したくなります。
ぜひ、読んでみてください。
では、また!


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