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とあるハタチは、考えた。

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#エッセイ

厳島にて。 鹿がいる。

厳島にて。 鹿がいる。

久しぶりに「音」を聞いた気がする。

シャラシャラシャラ
波が走り、砂と擦れ合う音。

ザクッザクッ
鹿が波打ち際を砂を踏みしめ歩む音。

観光客などほぼいない夜の厳島神社。
皆が自然と波打ち際の石垣に腰掛けた。

静かに並ぶ灯篭の列に視線を導かれ、目をやった先には大鳥居。
荘厳さに皆しばし黙り込む。

音が聞こえる。
久しぶりの瀬戸内の声。
日本海のように荒れ狂い自然の威厳を示すでもなく、太平洋

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沼田にて。 上州列車人間模様。

沼田にて。 上州列車人間模様。

「まもなく倉賀野駅~倉賀野駅。」

無為にスマホを触っていた手がとまった。
別に大した理由もないのだが、「倉賀野」という言葉に少し聞き覚えがあったのだ。

岡村にLINEを入れる。
あいつも、相当な戦国オタクだ。
「倉賀野って確か上州戦国史において名前でてくるよな。」

さすが岡村、既読が早い。すぐに返信があった。
「山内上杉重臣じゃないかな?
 山内の本拠地は平井だし。」

確かにそうだ。
そし

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