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誰も隣にいない時

マイクが拾う風の音は
嫌いじゃなくて
ひとりが似合う時に
いつも傍にいてくれる
そんなふうに感じるんだ

無音が話す言葉を
知ろうとしたのは
いつのことだったか
包みこむ毛布のよう
温かみを近くに感じた

同じ月を見ているかな
そんなつもりで空を見上げる
いつも俯いているのに
知らないうちに考えてる

打ち消す理由のひとつ
混沌の隣を歩く
問いかける不安は
波を打つようにうねる

耳に届く世界だけをイメージして
まっすぐ見てくるあなたの目を
閉じてる瞳の奥に見る
必要とは何かを問い
私との的確な距離を測る

抱き締め抱き締められる理由を
心の求めに応じる
安らぎの涙から探す
そう今このタイミング
それでも隣に誰もいない

耳に届く世界だけのイメージ
ぶつかる風と無音の言葉
まっすぐ見てくるあなたを思って
感触のない胸に顔を埋める
涙だけが風に飛ばされる

それでも言葉は無言のままに
私へ手を差し伸べる
確かな感触はなくても
心に届く握り返し

抱き締めてるよと
温かく包み込む毛布のように
風に乗せて運んでくる
感触のない手を背中に回して
やさしくくるむように

誰も隣にいない時に
見えないものを信じれますか
たしかな感触のないものに
身を委ねることはできますか
すべてをわかっていても
心がそう欲することはないですか

誰も隣にいない時こそ
感覚を研ぎ澄まして
何も触れなかったとしても
心の奥の喜びと悲しみに
手が届かなくても
すべての色を持ち合わせた
月を見上げて
やさしい泣きかたを知る

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