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【感想】北極百貨店のコンシェルジュさん【ネタバレ有り】

新人コンシェルジュ秋乃さんが働く高級百貨店『北極百貨店』はお客様が全員動物の不思議な百貨店です。まだまだ研修期間故にそう簡単には先輩コンシェルジュさんのようにはいかないもの、今日も秋乃さんは真っ直ぐにお客様と接していきます。

西村ツチカ先生作、漫画『北極百貨店のコンシェルジュさん』が原作のアニメ映画

クレヨんや水彩のようなテクスチャーの質感や落ち着いた彩度で表現された柔らかさと高級感、しかし落ち着いた彩度の中で表現される百貨店の煌びやかさと光の表現。お客様として描かれる動物達の愛らしい表情、動物大好きな私としては最高に見応えがあり大満足でした。
流石安心と信頼のアニプレックス、作画最高だった。

原作がある事を知らないまま視聴しましたがそれでも何の問題もなく楽しめましたし、是非原作も読んでみようと思います。

お話は幼少期の秋乃さんが誰か大人の男の人に導かれ百貨店の従業員入口か裏口を潜る所から始まります。
明るい店内放送が流れる広い広い無人の館内を楽しそうに掛けていく秋乃さん、次第に現れる大型動物達の隙間を潜り、小さな動物達にぶつかりそうなるのを転びそうになりながら避けていく内についに転んでしまいそうになるのを人間のお姉さんに受け止めて貰います。

”お姉さんは、誰?”ーーーー”私はね、コンシェルジュ。ようこそ北極百貨店へ”

憧れの眼差しで華やぐ秋乃さんが、コンシェルジュに憧れコンシェルジュを目指す瞬間。これから作品を観る方はこのお姉さんをしっかり覚えておいて欲しいです。

まず描き込みが素晴らしく、メインで登場するキャラクター以外にも可愛い動物のお客様がいっぱい。どんな動物が眺めるだけでもワクワクします。エスカレーターを降りてるアヒルさんが個人的にはお気に入りです。
フェレットのお客様の困り果てた悲しそうな垂れ目や、デフォルメしながらも特徴を捉えられた前足のふわふわ具合。登場人物のみんなの表情の豊かさ等映像だけでも魅力がいっぱいです。
百貨店の装飾品の至る所に謎のペンギンエルルさんが隠れているのを探すのも面白ポイントです。

子供の頃ならただ動物さん可愛いで終わっていたかもしれませんが、社会人になってから見ると秋乃さんの空回りしながらも自分が接客したお客様一人一人の為に全力を尽くす姿に自分や後輩を重ねて一喜一憂しっぱなしでした。
夢中になりすぎる所は頭を抱える程ハラハラしますが、接客をしながらお客様の要望通りの商品を見つけだしプレゼンする能力は素直に見習いたい部分だと思う。

また、この作品は可愛いだけではなく皮肉っぽい面もある。
お客様の中にはV.I.PならぬV.I.Aベリー・インポータント・アニマル)要するに絶滅危惧種の動物さんも存在する。

そんな中秋乃さんを見ながらオーナー(絶滅危惧種)がフロアマネジャーに、「強いモノか賢いモノ、生き残るのは何者だと思う?」と問います。
フロアマネージャーは「環境に適応し、自ら変化させる者である」と。
それに対しオーナーはそれもまた然りだが適者生存では生存に不利な進化を説明出来ないものだと答えます。

人間に滅ぼされたり、環境に適応出来ずに絶滅してしまった絶滅危惧種と人間がこのような会話をするのは非常に皮肉っぽくはないだろうか。
特にオーナーの種は減少したのち人間に乱獲された事が原因で絶滅したが、年に1個しか産卵せず繁殖能力が極めて低かったらしいのでもし環境に適応して変化していれば…と思わなくもない。
まあ環境に適応する暇も与えず人間が私利私欲のまま乱獲したのが一番悪いのは間違いないが…。

V.I.Aのお客様達のそれぞれの恋のお手伝い

秋乃さんが安請け合いとも言える勢いで引き受けてしまう、プロポーズをしたいV.I.Aのお客様のお手伝いをするお仕事。
人間達が力を合わせ、V.I.Aの恋(繁殖)をお手伝いする。
可愛らしく表現されているが、これも人間がすべき償いを表しているのかなと思います。

生産中止の香水を見つけだし、お客様に差し出す時のベテランコンシェルジュさんのセリフも絶滅危惧種にも言える事で色んな所にちょっとした皮肉や教訓が含まれています。

最後秋乃さんの接客が如何にお客様に喜びを提供できていたか分かるシーンでは思わずうるっときてしまいました。

いつも中村悠一の存在に気が付けない。

私の好きな声優さんの一人が中村悠一さん。
個人Youtubeチャンネルを視聴する位にはファンなのですが、あまりにそのキャラクターの声として自然に発せられているせいか声を聞いてもエンドロールまで気付かない事が多々。
今回もエンドロールで名前を発見して思わず二度見しました。
お、お前、出とったんか…!?

二度目にじっくり視聴して漸く、ああ確かに中村さんだわと納得しました。
FGOやリバース1999辺りだと中村悠一さんが声をやっていると理解していても認識するのが難しい位分からない。

逆に津田健次郎さんは一言発しただけですぐ分かるのに…。

とはいえ偶然好きになった作品に好きな声優さんが関わっているのは凄く嬉しい。

最後に

オーナーからコンシェルジュとして認めらある贈り物をされる秋乃さんですが、ここで話は冒頭に。
多くの絶滅危惧種や絶滅してしまった動物が集まる北極百貨店ですが、最初に男性にここに連れてこられた秋乃さん…果たして彼女は生きているのでしょうか。
皆さんはどう思われますか?
是非作品を見て頂き、考察して頂きたいです。


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