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箱根駅伝ってみてますか?という件。
お正月のイベントで箱根駅伝を思い浮かべる人は多いのではないだろうか。日本のお正月といったゆるい空間に、テレビに映る淡々と走る学生ランナーの姿が妙にマッチして人気コンテンツとなっている。
私もスタートからゴールまでずっと見ていることは少ないが、実家のお正月2日3日のテレビは箱根駅伝をずっと流している。
そんな箱根駅伝で、やたら底の厚い派手なシューズが映るようになって久しい。Nikeが2017年に厚底シューズを投入後、ずっとトップシェアを取ってきたが、近年はライバル社も台頭し、2025年は「Nike首位陥落か?」とも言われている。
2017年にNikeは反発力のあるカーボンプレートを挟んだ厚族シューズを投入した。結果駅伝やマラソンのタイムが大幅短縮した。
箱根駅伝も同様にシューズシェアは2018年からNikeが独走。2021年大会では95.7%(210人中201人)となり、1社独占の異常な状態となった。
しかしながら、その後他社もカーボンプレート搭載の厚底モデルを開発し、徐々にNikeの圧倒的優位性は崩れている。
前回の2024年大会ではNikeが42.6%(98人)でトップを守るも、アシックスが24.8%(57人)まで上昇。アディダスも18.3%(42人)と肉薄。さらにプーマが8.7%(20人)と躍進。他にもミズノ(5人)、オン(3人)、ホカ(2人)、ニューバランス(1人)、アンダーアーマー(1人)、ブルックス(1人)がいて、過去最高となる10社が使用された。まさにシューズシェア争いは戦国時代突入である。
そして2025年はついに「Nike首位陥落」の話が出ている。新たなトップ候補はアシックスとアディダスだ。
アシックスは元々2017年大会ではシェアトップだった。その後2021年大会でまさかの「0」。窮地に立たされたアシックスは2019年にトップアスリートが勝てるシューズを開発すべく、各部署の精鋭を集めた「Cプロジェクト」を発足・2021年3月にランナーの走り方に着目した「METASPEED」シリーズを発売した。
ストライド型(歩幅を伸ばすことでスピードを上げる)のランナーに向けた「SKY」と、ピッチ型(ピッチの回転数を上げることでスピードを上げる)のランナー向けの「EDGE」の2種類があり、ともにストライドが伸びやすい仕様になっている。
同モデルを履いた当時33歳の川内優輝氏が、25歳の時に出した自己ベスト(2時間8分14秒)を大幅に塗り替える2時間7分27秒をマーク。「METASPEED」が注目を浴びるとアシックスが反撃した。
箱根駅伝は2022年大会でシェア率を11.4%まで回復。2023年で15.2%にアップ。前回大会で24.8%まで引き上げ、Nikeのが視界に入ってきた。
今年3月にはパリ五輪を前に「METASPEEDPARIS」シリーズを発売。新採用された「FF TURBOPLUS」というミッドソール素材は、従来素材と比較して約8%軽く、汎発性は8.2%、クッション性は6.0%向上した。その結果「SKY」は約20グラム、「EDGE」は約25グラム軽くなった。また「SKY」はカーボンプレート前足部の幅を拡大、「EDGE」は前足部の厚みを3ミリ増加させたことで反発性がアップした。
今季の学生駅伝は前年と比べて、10月の出雲駅伝で4.4%、箱根予選会で7.6%、全日本大学駅伝で2.7%も着用率がアップ。先日行われた全国高校駅伝でもアシックスの着用者が目立っていた。
前回の箱根駅伝は青山学院大が独走で優勝だった。立役者となった2区区間賞の黒田くんと、3区で日本人最高を出した太田くんの二人はアディダスのスーパーシューズ「アディゼロアディオスPro EVO1」を使用し爆走した。従来のレース用シューズより40%も軽い片足(27センチで)138グラムだ。めちゃくちゃ軽い!ちなみに価格は『8万2500円』。めちゃくちゃ高い!
このスーパーシューズは大量生産が困難なモデルで前回大会の使用者は3人しかいなかった。徐々に有力選手への提供も進んでおり、今回大会では「8万円」を履いた選手が大幅に増えそうな様子だ。
アディダスはこれとは別に最新のレーシングモデル「アディゼロ アディオスプロ4」を11月27日世界に先駆けて日本で先行販売しており、箱根駅伝ではこちらのモデルが主要になる見通しだ。
アディダスは2025年の箱根駅伝で「ブランドシェアナンバー1」を掲げているが、正月決戦の前哨戦ともいえる11月の全日本大学駅伝(関東15校)のシューズシェアはNikeの32%に迫る28%だった。前年(59%)を27%下げたNikeに対してアディダスは前年を8ポイントも上回り、またプーマも前年の6%から17%に伸ばしている。
プーマは全日本大学駅伝での着用者が2021年0人、2022年3人、2023年10人、2024年22人と着実に使用者を増やしてきた。今回の箱根駅伝でも早稲田の山口くん、城西の斎藤くん、國學院の青木くん、立教の馬場くんらの有力選手が着用予定で、さらなるシェア獲得が見込まれている。
押され気味のNikeだが、世界の舞台では結果を出している。昨年9月のベルリンマラソンで「アディゼロアディオスProEVO1」を履いたティゲスト・アセファが女子としては驚異的な2時間11分53秒の世界記録をたたき出して関係者を驚かせたが、今年10月のシカゴマラソンでは「ナイキ アルファフライ3」を着用したルース・チェプンゲティチが2時間9分56秒と、昔は女子としては絶対切ることはできないとされた2時間10分を切った世界記録を樹立している。
Nikeの最新レーシングシューズは「アルファフライ3」と「ヴェイパーフライ3」だが、水面下で「ヴェイパーフライ4」を一部選手にプッシュしているとも言われている。
更に、前回の箱根駅伝で3人が着用したオンにも注目がされている。全日本大学駅伝では5人の選手がオンを履いて出走。国内ではまだ未発売の「Cloudboom4」というモデルを使用した選手が活躍している。他にも今年7月に発売した「CloudboomStrike LS」というモデルを履いた選手も出場していた。
素材をスプレー噴射することで接着剤フリーのつなぎ目のないアッパーを実現。極薄でシームレスな作りで靴ひもなしで着用できる。足へのフィット感が抜群で、インソールも中敷きもなく、脚が直接ハイパーフォームに接するためエネルギーロスも少ない。ビジュアル面でも目立つ「近未来シューズ」だ。
もはや選手だけではなく、シューズメーカーの開発競争の様相も表している「箱根駅伝」。是非今回は選手の「靴」にも注目してご覧になっていただきたいと思う。
しかし、Nikeはファッション面でもイマイチだと言われていたり、「エアフォース1」などクラッシックシューズしか売れないと、株価の面でも全く冴えていない。会社としては「ランニングシューズ」競争、本当に負けられない戦いだろうと思う。確かにNikeでかっこいいなって思うシューズって結局「エアジョーダン」や「エアフォース1」なんだよなあと思うオジサンだった。
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