「バナナが2億円かよ」と思ったら「9億円」だった件。
皆さんはマウリツィオ・カテラン氏のバナナを使った作品『Comedian』をご存じだろうか。トップに掲載している写真のような作品である。
「壁にテープでバナナが付けてあるだけじゃないの?」と思った方は鋭い。まさにその通りの作品である。私もインパクトとしてはマルセル・デュシャンの小便器を横にして置いただけの作品『泉』を知った時以来の衝撃だった。
何しろこの『Comedain』は生のバナナを使っている。当然腐ってくるわけだが、バナナが変わろうが、ダクトテープが変わろうが、その芸術的概念としての作品の価値は変わらないとしている。つまり、同じようにダクトテープでバナナを張れば、それは『Comedian』という作品が存在できるという事なのだ。何しろ初公開された際にも、2度に渡り鑑賞者に食べられるといったアクシデントに遭ったほどだ。もちろん当初から賛否はあったが、先述の『泉』が初公開された際もものすごく賛否があったように、後世『革命的作品』と言われるものに賛否は付きものである。
私はあまり芸術に詳しい方ではないが、近代美術として抽象画が結構好きで、地元の美術館にモンドリアン展が来たら観に行ったし、カンディンスキーの作品集を持っていたりする。
なので、結構挑戦的な芸術には理解がある方だと思うのだが、この『Comedian』には正直ビビった。またスゲー発想の作品が出てきたもんだと思った。何しろバナナとダクトテープがあればだれでも表現可能ときた。その『張り方』こそが『作品』と言うわけだ。その方法こそが芸術であり、意味する事なのだと。
そんな『Comedian』がこの11月にオークションにかけられた。2019年当初現代美術ギャラリー「ペロタン」で販売した時には12万ドルから15万ドル(当時の為替レートで1300万~1600万円)で販売していたのだが、今回の予想落札価格は100万~150万ドル(1億5300万~2億3000万円)とされていた。落札者には本物であることを証明する書類と、作品を設置するための説明書が手渡される。説明書通りにバナナを張り付ければどんなバナナでもアート作品へ昇華することを意味する解釈だ。
「バナナが2億円かよ」なんて思っていたのだが…。
今回落札された金額は、驚きの624万ドル(約9億4000万円)である。予想をはるかに上回る金額である。
落札者は「これは単なるアート作品ではなく、アート、ミーム、仮想通貨コミュニティの世界をつなぐ文化現象を象徴しています」と、この作品の意味する特別な価値観を述べている。
確かに「バナナ」と「ダクトテープ」という現実世界の消耗品を用いることで作品自体の劣化は避けられない。しかし、その消耗品の中身が変わったとしても、芸術としての表現は可能であるというのは、限りなくデジタル世界の考え方に近いのではないかと思う。
しかし、いくら資産を持っていれば「バナナ」と「ダクトテープ」に9億円をポン!と出せるのだろう・・・。
近代芸術には理解のある方だと思う私でも、その金銭感覚は想像できない部分である。
皆さんはバナナにいくら出せますか?私は200円から高くて400円ってとこかなあ・・・。
今日はここまで。
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