過ぎ去りし時間(五行歌 四首)
大学生の頃
電車の窓に映った自分を見て驚いた
かつてのレールから外れた少年は
そこにはいない
でも、何か忘れているような気もして
青葉の森の公園で
スーツ姿で食事を摂る
学生たちがダンスの練習をしている
去年までは何の憂いもない自分
ルールが変わったことを知る 初夏
「いい日旅立ち」という
移動書店があった
家を出る日
そこで本を買った
自らを励ますように
この都会の夜空は
明日への期待をはらむグレー
あの海辺の街の夜空は
すべてを包む毛布のようなブラックだった
そこには、その夜には、僕の居場所があった
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