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#3 グラム・パーソンズの落とし物

仕事柄、あらゆる音楽を聴かなくてはいけない立場におります。例えば、CM、イベント等で流す曲の選定。音楽関係のプロモですね。そうなると、正直、聴きたくもない音楽を聴くことも多いのですが、それ以上に幅広い時代の様々なジャンルの音楽に触れて、「多少の多少」は知識の幅は広いと自画自賛しております。ですが、当たり前ですが評論家ではございません。ですので、勝手な主観(ファンの方は色々と雑誌等でご存知でしょうからね)や勝手な推測などから、様々な楽曲やアルバムを語りたいと思います。というわけで地味に更新しますので、よろしくお願いいたします。うっかり考察に誤りがありましたら、ご容赦くださいませ。

「スティッキーフィンガーズ」をご存知でしょうか?
勿論、ブローノ・ブチャラティのスタンドですね。あちこちジッパーを開け散らしてからの、ぶちのめすっ!本当に格好いいですね。もし、そんなもん知らないっていう世間知らずの方はググってくださいね。

くだらない冗談はともかくですよ。まだストーンズの余韻が残っておりましてですね。とは言え、ストーンズの話はフェイドアウトしつつ、今回はルーツ的なことろに焦点を当てていきたいと思っております。かと言って「マディ・ウォーターズ」とかいうベタな考察も避けます。

うーん。例えば、ストンーズから急に「実は三波春夫を、ただの昔の人って舐めていないですか?」なんてところに飛んじゃうと、それは、いつまでもすっからかんであろうマガジンも充実しちゃうかも知れませんけどもね。ここは慌てないでですね、地味にスライドしたいところであります。

さてさて、ストーンズ黄金期にリリースされた「スティッキー・フィンガーズ」という超絶傑作アルバムには、のっけから「ビッチ」という危ういタイトルが入っているとは思えないですね。あの「ワイルドホース」という曲も収録されておりますよね。

もはや、私は聴き飽きていますが、バンドの休憩中には弾いたりしていますからね。聴くのと弾いてみるのは違いますしね。しかも、こんな名曲をギター買って数日で弾けたりしますからね。まさかだぜ!ギター初心者のジョヴァーナだなんて、ビックリものですね。

さてですね。これが、やたら切なくて美しい旋律ですよね。カントリーロックが大好物な好きな私は、ストーンズ(例えば、ファクトリー・ガールやファーラウェイ・アイズとか…)に限らず、他のミュージシャンも色々と好んで聴いております。ここ最近の人だと、たとえば、カリー・ピアーズとかですね。本当に素晴らしいと思いますよ。

なんだか、ストーンズファンはカントリー嫌いな人が多そうなイメージありますけどね……。「ストーンズといえばブルース」だぜと。そりゃ、本人達が思っていることでですね。ただのロックを中心に実際は様々なジャンルのテイストを取り込んでやっているじゃないですか。

そんなことはいいのですが、「ワイルドホース」って、フライング・ブリトー・ブラザーズというグループに所属していた、まさに、カントリーロックの創始者とも言える「グラム・パーソンズ」が先にリリースしていますよね。

しかも、1年も早くですから。ちゃちゃっとレコーディングした「ストーンズ盤」って……。イントロのコードも「G」×「Am」セットの6回からの「Bm」に入るところあたりが微妙に雰囲気が違うだけで、あとは、ほぼリフは同じ。一応は、昔ライナーノーツをテキトーに読んだと思うのですが、いまいち謎でございましたね。ここらがですね。私の甘いところなんですけどね。。。

実はストーンズの方が先に作っておいて、グラム・パーソンズがストーンズ側に「すいませんけど、カバーして先にリリースしていいっすか?」ってな話なわけだったという単純な話ってですね……。いや骨格は、ほぼぼぼ俺が作ったんだからいいんじゃねーすっか?と……いう本音というか、真っ当な主張を遠慮がちにしたとうですね。

まま。キースとは盃、いやドラッグを交わした仲ですのでね。当然「いくらテメェでも、調子に乗ってると容赦しねえぞ、この野郎!」とかアウトレイジみたいにはなりません。両方ラリっている始末ですからね。そりゃ「確かにお前の曲だよね」とアッサリ認めますよ。

とはいえですね。やはり、グラム・パーソンズの曲を色々と聴いておりますと、「ベガーズ・バンケット」から、彼が亡くなった73年の「山羊の頭のスープ」あたりまでのストーンズアルバムには、実際にカントリー調の曲が散見されますね。定番名作アルバム「レット・イット・ブリード」なんて、全体的な雰囲気にカントリーっさが漂っているんですよね。彼の存在感なくして、この雰囲気は出せなかったのは、ぶっちゃげなくとも明らかですよね。もう、99%は明らか。

ところで、あのカントリーの重鎮であるエミルー・ハリスと1974年(73年に亡くなったので遺作としてリリース)に「ラヴ・ハーツ」という名曲を(エヴァリー・ブラザーズのカバーではありますが)、まぁ、優しく美しくデュエットしています。てんでヒットこそしなかったものの評価だけは高いというですね……。タイトルがダサいからいけなかったのでしょうか?ジャケットが超絶ダサいですからですかね?どっちもですかね?

どうであれ、まさにカントリーロック創始者とド・カントリー女帝のデュットというだけでも随分と価値のある曲だと思うのですよね。

……あれ?

2004年(たぶん)に、グラム・パーソンズのトリビュートコンサート(ドラッグパーティではありませからね)で、大のドラッグ友達であったキースが参加しております。まぁ、これに来なかったら、いよいよ「鬼かよ!」ですからね。

しれっとカントリー好きで、一時期はジャズファンを、心底、心底ガッカリさせちゃった天才ノラ・ジョーンズと、この「ラヴ・ハーツ」をデュエットしています。勿論、キースはグラム・パーソンズみたいな美しい歌声ではありませんが、これはこれで真逆のしゃがれ声で、実に味わい深く丁寧に歌っておりして、なかなか格好いいんですね。相当、カラオケで練習したんでしょう。まだ若いノラ・ジョーンズは遠慮気味に気を使っているようなですね。しまいには、がっつり肩を組んじゃって堂々とセクハラまで。これがキッカケかキースとは仲良しになりまして、フライデーにまで撮られる始末なぐらいでしてね。なんとも、ほほえましい話です。

そして、グラムは天国から「おれとミック・テイラーのおかげで、あんたらの黄金期を作ってあげたんだから忘れないでね」と思ったことでしょう。私も同感です。その後の楽曲から推察すると、異論もあるでしょうが、そんなにパッっと浮かぶカントリー曲があるでしょうか?例えば、ジェニー・リー・ルイスのアルバムで、まさにカントリー調の「スイート・バージニア」なんて一緒に歌ったりですね。ミックも、カントリー風の、とりわけ重要な曲である「デッド・フラワーズ」なんかをコラボしたりですね。ミックのソロでも、なんでストーンズ用にとっておかなかったんだ!な「イブニング・ガウン」という名曲が奇跡的に作れたりして。あぁ、このサビの部分はキースとコーラスするとしたらなぁなんて想像しちゃいますからね。

しかしながら、そういう感じぐらいはあっても、残念なことに、彼らは思いっきりカントリー自体は忘れておりますけどね…。いや、作りたいけど作れないというですね。

突然、笑みを浮かべたグラムにカウセラーは尋ねます。

カウンセラー「どーしたの?」
グラム「冗談みたいな話を思いだしたんだ」
カウンセラー「どういう冗談ですか?」
グラム「君には理解できないさ」

…どう考えたって俺が作った曲なのに「ジャガー/リチャーズ」ってクレジットされているんだから。かといって、なんでもかんでも保険かけて、完全に妄想説にする連中よりはマシだと思うんだよね。確かに、ミック・テイラーは腑に落ちなかったようだけど。それはそれでいいじゃないか。ストーンズファンのみんなは邪推しないでいいんだよ。たまには、「メイントリートの〜」とか聴いたらさ、しれっと、曲の断片で俺のことを思い出して欲しいだけなんだ。

邪推するなといわれると余計に邪推してしまいますから理解もできません。ましてや、こんな恐ろしい真実があっただなんて、揉み消されていますからね。。。うう。

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