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女のヒエラルキートップに成り上がった強女。性に強い女は成功を勝ち取る。

年末に銀座の春画展に行ったときに、銀座SIXの蔦屋で何冊か春画に関する本を購入した。その中の1冊

浮世絵のおんな

江戸時代、春画と同じく盛んだったのが艶本。
いわゆるエロ本だ。艶本というだけで何だかすごく豪華で美しい印象になる気がする!艶本・・・いい響きだ笑

この本の中でも名作と言われている、 
葛飾北斎の【萬福和合神】

北斎は61歳のとこにこの話を書いたというのだから驚き。
奇人変人と言われ、何十回も引っ越しをしたり、創作することに命を懸けていた北斎。そんな北斎は、人間の幸せと豊かさは男女の交わりにあり、それは愚かな者も賢い者も、貧しい者も裕福な者も等しく同じなのだ
と説いている。

萬福和合神は、ふたりの主人公の女性の性遍歴を
描いた作品であり、とにかくふたりとも
かなりお盛んでやりにやりまくっている。

裕福な家に生まれた「おさね」と貧しい家の娘「おつび」。同い年の幼なじみである2人の、13歳から30歳までの波瀾万丈な性遍歴。

13歳のおさねは両親の交わりをのぞき見て性に目覚める。とにかく両親はおさねが生まれてからも変わらずにやりまくっているというなんとも 
幸せな夫婦生活だった。   

両親がいつも仲良く交わっているのを見て育ったおさねは恐らく性に対して超ポジティブやりまんとなったのだろう。

しかし、おさねは相性の良い男と駆け落ちしてしまい、実家から勘当され、最後は路傍で色を売る「夜鷹」にまで身を持ち崩してしまうのだ。

あまりにも性に真っ直ぐだったおさねは
純粋過ぎて愛だけに生きて暮らしが立ちいかなくなってしまった典型型。
性に没頭するのはいいが、生活を成り立たせる算段も必要。現代であれば、結婚の前に経済力を
つけてから色に溺れてねって感じか。

一方、貧しいおつびは近所の男2人に強姦されてしまう。しかし、その経験をバネにし、おつびは奉公先などで性経験を重ねた後、裕福で助平な男の妾として跡取りを出産。
のちに後家として、若衆遊びにふける安泰の身になる。
  

レイプされた経験をものともせず、真面目に奉公に出つつ、そこで性経験を積むことで 
裕福な男に見そめられた。更に跡取りを産むという大仕事を成し、女のヒエラルキーのトップに君臨した。

そしてそのあとはようやく自分の好きな男と
やりまくれることに。やったー!!
初体験からずっと好きでもないしたくない男としてきて、その経験を嘆くわけでもなく、
成り上がってやると突き抜けて人生の成功を手にしたおつび。
なんてカッコイイ👏👏

やはり自分の境遇や経験を人生にどう活かすか
次第だなぁと改めて思う。

いつまでも自分は被害者だ、被害者だと言って
現状を良くしようとせず、
こんなことされた、この人は酷いんです!
と吹聴し周りにネガティヴさを振りまいている
人もいれば

黙々と自分の目指すものに向かって努力する人…

北斎はこの作品を通して
性が持つ人間の生命力と逞しさを伝えたかったのではないか。
(それをこんなに面白おかしくドラマチックに書けるのは凄すぎるが)

どんな人間も性の前ではただの人間に成り下がる。人間の愚かさ弱さ、逞しさや力強さ。
そして大きな愛。
人間の本質が性には全部詰まっている。



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