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本当にあった葬儀の怖い話~位牌と塔婆にまつわる怖話~

 みなさんこんにちは。ルトです。

 夏といえば怖い話で納涼が昔からの定番です。
 なので今回は、元葬儀社社員の僕が本当に体験した、葬儀の怖い話をひとつご紹介したいと思います。


 葬儀においては、白木の位牌と卒塔婆を用います。
 この位牌と卒塔婆は、何も書かれていない真っ白な状態のものが倉庫に保管してあります。そしてお寺さんに渡して、戒名などを位牌と卒塔婆に書いてもらうのです。
 そのため、僕たち社員は白木の位牌や卒塔婆を「書き物」と呼んでいます。

 位牌と卒塔婆は、喪家の旦那寺によって、用意する種類や本数が異なります。
 そのため電話にて葬儀の依頼があった時には、必ず宗旨宗派と寺院名を確認することになっています。
 参考までに、禅宗や真言宗では、位牌と卒塔婆を準備します。浄土真宗では法名軸という小さな掛け軸のようなもので、卒塔婆は用いません。神道になると霊璽(れいじ)というものになります。
 準備した位牌と卒塔婆は、搬送車に乗せて共に喪家に向かいます。多くの場合、喪家に到着して故人様を布団に安置してから、お寺さんが枕経に来て日程の打ち合わせを行います。その時に、お寺さんに手渡すのです。

 お寺さんは通夜までに、位牌と卒塔婆に墨書きして準備してくれます。
 これをお寺に取りに行ったり、お寺さんが通夜に持って来てくれたりします。

 そして同じ式場で、立て続けに葬儀が続くことがありますと、必然的に違う喪家さんの位牌と卒塔婆が同じ場所に置かれます。

 通夜の日の昼間。
 準備をしているところに、先輩が同じホールで行われる別の位牌と塔婆を持って来て、ホールの事務所に置いていきました。
 僕は式場を作り上げ、あらかじめお寺さんから預かってきた位牌と塔婆を安置します。
 生花や果物の籠盛が並び、これで準備は完了!
 後は霊柩車で喪家に赴き、故人様をお連れしてくれば、通夜ができます!

 ほとんどの準備が終わって一休みしているところに、接客係の女性スタッフさんがやってきました。
 その時、祭壇を見てこう言いました。

「あれっ、この位牌の裏、××さんって書いてあるけど!?」

 その言葉を聞いて、耳を疑いました。

 なにしろ、僕が担当していた喪家は〇〇さんであって、××さんはこの後先輩が担当する喪家の名前だったためです。
 慌てて確認しますと、本当に××さんの名前が書かれていました。

 大急ぎでホールの事務所に戻りますと、そこには手つかずの状態になっている、〇〇さんの位牌が…!!
 ××さんの位牌を置き、〇〇さんの位牌を大急ぎで祭壇の前に置きました。


 女性スタッフさんが居なかったら、気づかないまま通夜に突入して、どこかで「うちの位牌じゃない!!」と大騒ぎになるところでした。
 本当に、肝が冷える出来事でした…。
 ちなみにこういった見落としは、ベテランの先輩方でもやらかしてしまうことがありました。
 そのため、事務所にいてやることがない人は、手伝いでこうした確認を行うことも業務のうちでした。
 葬儀も助け合いで成り立っているのです。


 それではっ!!

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