化粧品のキャリーオーバーって何?表示しなくていい成分?
こんにちは!
元化粧品メーカー社員で美容アドバイザーのrutaです。
化粧品でキャリーオーバーって聞いたことはありますか?
少し細かい話ですが、敏感肌やアレルギーのある方は知っておいたほうがいいお話しです。
キャリーオーバーとは
化粧品業界におけるキャリーオーバーとは、全成分表示に表記する義務のない成分のことです。
化粧品は、2001年4月の法改正で、配合されている全ての成分をパッケージに記載する「全成分表示」が義務づけられています。
したがって基本的に配合されている成分はすべて表示する義務があるのですが、例外があります。
それがキャリーオーバーという配合されている成分に付随する成分のこと。
行政では成分表記について以下のように記載されています。
(1) 成分の名称は、邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること。
(2) 成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない。
(3) 配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。
(4) 混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分毎に記載すること。
(5) 抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒を分けて記載すること。ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。
(6) 香料を着香剤として使用する場合の成分名は、「香料」と記載して差し支えないこと。
医薬審発 第163号 医薬監麻発第220号 平成13年3月6日
分かりずらいと思うのでどんな場合がキャリーオーバー成分に当てはまるのかというと、まず、原料の栽培で残留してしまうケース。栽培に使用した農薬や化学肥料などが関係します。
有機栽培(オーガニック栽培)をしていたとしても、家畜の糞で作る有機肥料に薬品が残留することがあります。
特別な飼育法をとらない限り、家畜は成長ホルモンや抗生物質など、何らかの薬を投与されているからです。
落葉を利用した腐葉土を肥料としていても、落葉が除草剤など農薬の影響を受けていれば、それを肥料として育った植物から薬品が検出される可能性もあります。
また、製造の工程で残留してしまうケース。
エキス類の抽出に使う溶剤などが関係します。ブチレングリコールなどの化学溶剤や、アルコールなどを抽出用溶剤として使うと、抽出したエキスに溶剤が混入します。
溶剤を使わない、蒸留法などで抽出を行った場合でも、原料由来のエタノールなどが混じってしまうこともあります。
これらは「本意ではないけれど、化学物質が混じって生じたキャリーオーバー」と言えます。
抜け道?意図的なキャリーオーバー
しかし、意図的に化学物質を添加した結果のキャリーオーバーもあります。
化粧品原料を製造する会社が、原料の安定のために防腐剤などの化学物質を添加することがあります。この原料を使用して化粧品を作った場合、原料の添加物はキャリーオーバー扱いとなるので、全成分表示に表記しなくてもよくなるのです。
どういうことかというと、「化粧品メーカー」は「化粧品原料製造会社」から原料を購入して化粧品を作っています。
「化粧品原料製造会社」で調達したいろいろな材料を、独自に配合して化粧品を作るのですが、このときに配合した成分は、全成分表示に明記しなければなりません。
しかし、「化粧品原料製造会社」から購入した原材料にあらかじめ添加されていた成分については、キャリーオーバー扱いとなり、全成分表示に明記しなくてもいいのです。
「化粧品原料製造会社」から購入した原材料にパラベンが使われていても、「化粧品メーカー」が自社でパラベンを配合せず製造すれば、「パラベン無添加化粧品」として売ることができるということです。
※パラベンとは防腐剤の一種で、副作用としてアレルギーなどの可能性が指摘される成分。基本的には使われてもごく少量で多くの方には安全性も高い防腐剤。
基本的にキャリーオーバー成分はごく少量なのでほとんどの方は気にする必要はありません。
とはいえ、過敏症やアレルギーなどで特定の物質を避けたい人、ごく少量でも反応してしまう人にとっては気にする必要があるでしょう。
見分け方
知りたいと思っても、キャリーオーバー成分について公表している化粧品メーカーはまだまだ少数派です。
キャリーオーバー成分が入っているかどうかを見極めるポイントとして、例えばパラベンの場合でいうと、「パラベンフリー」と記載しているものは、キャリーオーバー成分も含めて、パラベンフリーだと考えることができます。
しかし一方で、成分表示にパラベンが記載されていないが、パラベンフリーとも記載されていない場合は、キャリーオーバーとしてパラベンが入っている可能性もありうるということです。
こういった場合はメーカーに問い合わせれば教えてくれるところが多いと思いますので、気になる場合はメーカーに問い合わせてみるのもいいと思います。
パラベンを例に出しましたが、個人的にはパラベンは一般的な防腐剤でそこまで危険なものではないのでほとんどの方は気にされる必要もないかとは思います。
ただし、パラベンに限らずどんな成分でもアレルギーになる可能性はありますし、今まで大丈夫だったというものでも、途中からアレルギーが発現することがあります。
そのため、肌に異常を感じた場合は使用を中止し、医師に相談したり、アレルギーテスト等を行い自身の肌について理解を深めるのが大切です。
現在は自然派化粧品、オーガニックコスメをうたった商品が多く販売され、選べる商品も増えた今だからこそ、公表義務のないキャリーオーバーについての対応は、その化粧品メーカーの商品作りへの姿勢を知る、ひとつの目安になりますのでマニアックな話だったと思いますが、お話しさせていただきました。
私の記事ではこういった化粧品・スキンケアなどの美容に関すること。ダイエット・ボディメイクなど、美容・健康メーカーを辞めた今だからこそ言えることなどを書いていきますので、良かったら今後も見ていっていただけると嬉しいです。
スキンケアやアパレル製品の開発をしたいと思っています。