140字小説 「昔日の雪上」
コップに敷き詰めた雪の上を走っているようだった。辺り一面銀世界の景色は、広大なようでどこか窮屈さを感じる。犬ぞりの疾走感も、身を切る寒さの対比にはならず、一寸先は闇ならぬクレバスの恐怖はいつだって付き纏う。それでも僕たちは走るのだろう。このコップの淵を目指すような雪上を夢と共に。
コップに敷き詰めた雪の上を走っているようだった。辺り一面銀世界の景色は、広大なようでどこか窮屈さを感じる。犬ぞりの疾走感も、身を切る寒さの対比にはならず、一寸先は闇ならぬクレバスの恐怖はいつだって付き纏う。それでも僕たちは走るのだろう。このコップの淵を目指すような雪上を夢と共に。