140字小説 「十円越しの再会」
駅の公衆電話から父にかけた。子供の頃から父は家を空けがちだった。母は仕事だから仕方ないと言うが、子供だった私はそれが寂しくて仕方なかった。だから家を出てから疎遠になり、顔を合わせづらくなった。でも今は違う。「父さん、そっちに怪獣出たから早く逃げて!」「すまない、三分待ってくれ!」
駅の公衆電話から父にかけた。子供の頃から父は家を空けがちだった。母は仕事だから仕方ないと言うが、子供だった私はそれが寂しくて仕方なかった。だから家を出てから疎遠になり、顔を合わせづらくなった。でも今は違う。「父さん、そっちに怪獣出たから早く逃げて!」「すまない、三分待ってくれ!」