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140字小説 「冬浪者」

町は雪景色の様相を呈し、暖かな服装の紳士や親子連れで賑わう。その折、薄着の貧相な男は道行く者から奇異の目で見られていた。道端で一人の少女が転び、男が手を差し出そうとする。周囲から、あっ、と短い声が漏れるが、少女はその手を取って言った。「神父様、寄付も程々にしないと風邪引きますよ」

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