「コントが始まる(第9話)」このドラマに出てくる人々は皆、「冒険王」だ!バラードを聴いてるようなラス前
次週が最終回。解散ライブはどう描かれるのか?いや、描かれないかもしれない。ライブが始まるというところで終わっても問題がないドラマである。そう、あくまでも、視線の先に未来が見えていれば良い、いや、過去が美しく見えればいい。ここまで9回のドラマの中で、悔いなき青春の日々が視聴者に訴えられてきたことを振り返るだけでたまらなく熱くなる感じはある。そう、みんな「冒険王」だった青春なんではないだろうか?
そして、この回でも、いろんな精算が行われる。同級生だった浅香航大と酒を飲むシークエンス。一瞬にして、10年前に戻る感覚っていうのも、高校出てから10年後にしか味わえない感覚だ。それ以上経っていくと記憶も怪しくなっていく。そして、憧れの人は記憶とは違うものになっている。
仲野大賀が芳根京子の父親である、でんでんに挨拶にいくシーンも熱いものがあった。不貞腐れた父親に、しっかり挨拶ができ、一緒に酒を飲むことができた仲野の姿にも、この年齢だからできる芝居が見られたりした。そう、フィクションがリアルに感じられているのだ。視聴者はもはや「マクベス」のファンでしかない。父親が、車のナンバーを「723」にしている話は、将来の父と息子の絆を感じさせる。
そして、仲野が必死に挨拶している時間に、恩師の鈴木浩介に呼ばれ、バーーベキューに勤しむ菅田と神木。鈴木の息子に、「マクベスは失敗したの」と言われ、色々と考えてしまう。二人で、火を囲み、黄昏ている姿がたまらなく刹那かった。こういうシーンが生きてくるのは、このドラマが良いドラマだったことを意味する。
先週、喧嘩状態だった、有村と古川の兄弟も、新しい仕事に着き、ふわふわしていた今までをスナックのカウンターでカウンターで精算している。古川は、若いながらなかなか心の機微が見え消え隠れするような良い芝居をする。これから、もっと綺麗になりそうだし、楽しみな素材だ。
そして、先ほど書いた、鈴木浩介、松田ゆう姫、明日海りお、伊武雅刀など、脇で彼らを見守る大人たちの温かい視線の描き方がとても素敵なドラマである。このラス前は、そんな彼らの10年間の精算といった趣のある時間になっていた。とにかくも、自分のそんな時代を重ね合わせながらも、懐かしいく、涙が出てきそうな流れである。
そんな流れの最後に、ファミレスで有村にお礼を言う三人。もう、ここで最終回的なシーンだ。それぞれの未来が設定されていく中で、まだ、菅田の未来が見えていない。この辺りも、描くのか?描かないのか?
来週のラストが本当に楽しみである。