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「18/40~ふたりなら夢も恋も~(第5話)」出産の喜び、希望を目一杯に描いて、この先母親はどう強くなっていくのか?
今回のラストがドラマの折り返し点になると同時に、福原遥が出産したことでドラマの方向性が微妙に変わっていくことは確か。福原と深田の人生観がこれにより変化を起こさなければいけないと思うからだ。そういう意味で、ドラマをどう持っていくか楽しみではある。
しかし、昨今のドラマに見る出産シーンの中では、なかなか長めで感動的なものになっていた。出産を見守る医師の松本若菜の演技もそつがない感じで、外では、妊婦の父の安田顕と、保護者代わりの深田が抱き合うような場面作りも自然に出来上がっていた。まずは、ドラマを見ながら「おめでとう」と言えるシーンになっていたことは良かったと思う。
そんなシーンがメインに持って来られる今回は、福原の未来の夢へのモヤモヤがうまく描かれていたと思う。そのドラマの流れで追うと・・。
今回は鈴鹿央士のここまでの人生の回想で始まった。鈴鹿が高嶋政宏の息子であることは先週開示されたが、彼が留学していて勉強よりダンスばかりしていて落第、日本に呼び戻され家を追い出されたことも・・。彼は彼なりの夢を追いかけていく中で、福原に出会い。妊娠してることも認めながら、彼女に惹かれていくことが見えてくる。
そして、福原は先輩の嵐莉奈のプロデュースした美術展を見にいく。キュレーターとして歩み始めた彼女を見て、心が焦る。やりたいことがあるのに、子供も産んで育てなければいけないというモヤモヤが、この周辺のシークエンスでうまく表現できていた。ここに、主要人物が集まってくることで、嵐の華やかな姿を感じることで、心のモヤモヤがぐちゃぐちゃになっていく感じがうまく表現されていた。考えれば、朝ドラ「舞い上がれ!」の中でも似たようなシーンは多かった気がするが、福原のこういう葛藤に対する演技力は更に伸びている感じがした。表情の中に深みが出てきたということなのだろう。そして、綺麗になってきている。
あと、深田の母である、片平なぎさが上京してきて、入り口でたまたま福原と出会い、説明せざるをない状況になり、3人が対峙するシークエンス。やはり、片平さんひとり入ってくるだけで、すごく緊張感が出てくるし、福原の出産を前にしての登場はすごく視聴者にも、安心感を与える。脚本の中でこういうシークエンスを一つ入れていくことでドラマの様相がガラリと変わってくることがわかる。
そんなシーンが入ってくるから、福原への友人たちからの出産前のパーティーが生きてくる。あくまでは、この子ができた状況はどうあれ、このお腹の子は祝福されて生まれてくるということが大事だ。もちろん、ここで母親になる福原の心はまだ、モヤモヤのままだ。ここから、彼女自身、そして温かい周囲が彼女の未来をどう描くのか?という興味はここまででかなり興味が尽きないものになっていく。この出産があって後半戦に向かわせる流れは、このドラマにとってはとてもうまくいった感じである。
それに対し、深田と上杉柊平の恋愛模様が、まだ深田が12歳差というのを気にしている。深田が出産し、子供が深田の生活に入ってくることで、この辺りの気持ちがどう変化していくのかは興味深い。
とにかくも、この辺りでやっとエンジンかかってきた感じがした今回でした。