「いちばんすきな花(第8話)」嫌いなポジティブワードというフラグの中での友情物語
回も押し詰まって、もう8回目。後2回か3回ということだろう。そこで登場した主人公4人が知っているというか、生きていて印象深いかった知人「志木美鳥」。今回はそんな彼女に一人づつが接触していき、彼女の人生というか、異端な人柄を紹介していくような回。このドラマ「男女に友情は成立するのか?」というテーマを掲げているが、その答えを出すのに重要な人物なのだろう。演じる、田中麗奈は、4人にとっては人生の中で忘れられない人であると同時に、そのくらい印象的な轍を残したというような存在。そんな彼女が今何を考えて4人に会っているかは不明な部分が多いが、人生、みんなと違うと一瞬は思っても、誰か手を差し伸べてわかってくれる人がいるみたいな、そんなところを「友情」というフラグと共に語りたいのかもしれないと今回を見て思えてきた。
今回の話の始まりは椿の家で、みんなが嫌いな「ポジティブワード」の話。確かに、そんな言葉は当たり前のように世の中にはびこってる。最後に答えた椿が「置かれた場所で咲きなさいと言われるが、できれば最初から咲く場所において欲しい」という。ごもっともなご意見である。ポジティブを奮起させるようなワードはネガティブの肯定と、その者の見方の変換がほとんどであり、初動がネガティブな場合はなかなか納得できないし、まあ、少しの奮起を起こすことはできても、それ以上にはならないよねということだろう。しかし、こういう問いかけをしてくる生方美久という人の「最も嫌いなポジティブワード」を聞いてみたい気もする。
そして、まずはゆくえと美鳥が会うことになる。彼女たちは思春期での友達であり、仲野太賀も友人だったりするわけで、その心の触れ合いは次回に語られるようだ。そして、美鳥は椿の家。つまり自分が昔住んでいて買い戻したいという家を訪ねる。ここで、美鳥のやんちゃというか、異質な中学時代が語られる。そして、椿が美鳥に将棋を教えたことがわかる。そして、その後、夜々に将棋を教えたのが美鳥ということも綴られていく。そして、椿や夜々と会った頃の美鳥は周囲からかなり厄介な存在であったようだということが語られるのだが、ここが結構大事な部分なのだろう。
その後にゆくえの塾の教え子の辛い話が出てくる。クラスのみんなが馴染めない子に対し悪口を言っていることが辛いという話。確かに中学校では、クラスで少し違う感じの子を疎外して、それがいじめに発展することも多い。それは比較論であり、優劣をつけたがる人間のいやらしい部分が表面化してくる瞬間で、私にも覚えがある。そんな標的になっていたのが美鳥であることがこのドラマでは大事なのだ。そして、クラスから疎まれていた彼女が、今4人の人から会おうと言われる現実があるということを描くことがここでは大事なのだろう。人は、ある組織で馴染めなくても、絶対にあなたの同志と思えるような人はいるし、神様はあなたと同じ人を呼んできてくれるよ的な話を書きたいのだろうと思う。そう、多少まどろっこしくても、自分の生き方を真摯に生きていれば素敵なシーンに巡り会えるということなのだ。
そんなことを語る中で友情とか恋愛とかはどうでも良いことである。好きな人が幸せでいてくれることの嬉しさだったり、何度も再開するたびに胸が熱くなるような、人間本来の昂まりがそこにあれば、人は幸せなのではないか?
今、もう一つ自分に対し好きになれないような部分が残っている4人に対し、そのモヤモヤの回答として、そんなことを感じさせるために美鳥という人を放り込んできた気がするのですが、どうなのでしょうか?
とにかくも、ここからクライマックス、4人の心の行方をどう書き込んでいくのか興味深いことは変わりません。