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「夕暮れに、手をつなぐ」暖色の画面と広瀬すずの多彩な表情とヨルシカと・・・。

ドラマ全体のカラーグレーディングが暖色のオレンジっぽくしてあるのは、「夕暮れ」というイメージなのだろう。それは心地よい感じがした。北川悦吏子脚本と聞くと、最近は構成能力に無理が出てる気があったが、今回は初回を見る限り初期の佇まいに戻っている気がした。ある意味、期待はできそう。とはいえ、ワンクールを恋愛模様だけで上手く繋ぐのはなかなか難しいですからね・・。あと、やはり彼女の描く若者像みたいなものがあまり新しさを感じないのは気になる。大体、博多から出てきて、今時ここまで訛っているような少女がいるだろうか?

初回は、ボーイ・ミーツ・ガールをどう見せるか?というところ。冒頭のイヤホンを落とした感じは今でないと描けない画。そして、そこで流れる「ヨルシカ」は印象的だし、その流れで、このドラマが音楽を重要としていることはわかる。それだけで、北川脚本としては珍しく感じた。

そして、二度目の出会いは東京。スマホ救出のために濡れ鼠になる広瀬。そして三回目は川に飛び込もうとする広瀬を永瀬が救う。で、最後にとどめのように、永瀬の下宿先に湯辺りで運ばれてくる広瀬。少し、くどいくらいの流れではあるが、もはやこのくらいの出会いがあれば、そこに「縁」ができるわけで、ドラマが始まるアクセルが踏めた感じ。北川ドラマとしては、無難な立ち上がり。

そして、主役の広瀬すずと永瀬廉の雰囲気がすこぶるいい感じだった。広瀬はここにきて、女優としての振り幅が極端に広がっている。多彩な表情で「空豆」という役を初回で見事に印象づけているし、永瀬も、これ以上ないくらいに「音」という好青年を演じている。そして、二人の掛け合いの可能性には、まだまだ先があるように見えるのが良い。

脇も、夏木マリをはじめとしてなかなかわかりやすい配置。レコード会社の松本若菜は、もう、こういう役がはまってきていますね。今年も少しきつめのテイストで色々使われそうですね。

そう、その音楽というのが、このドラマに対しすごく重要な要素に見える。北川さんの趣味で進むのだろうが、「ヨルシカ」を挿入歌でも使っているのはいい感じに見えた。夏木マリが部屋で「ダウンタウン」を流したりもしているが、どんな感じで音楽がドラマを色付けていくのかも興味深い。

とはいえ、広瀬が振られたついでにホテルの35万の部屋に泊まったりするのは今ひとつ、話の中にフィット感がなかった気はするし、やはり、バランスの悪さみたいなものはあちこちに感じられる脚本でもあることは確か。そのあたりのノイジーな部分を主役二人が演技でどこまでカバーして良いドラマにしていくか?というところなのだろう。

私的にはハッピーエンドのスマートな恋愛劇を望むところです。

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