「あたりのキッチン!(第6話)」味覚障害からの家族的な食事風景
本クールのドラマで「コタツがない家」「ゆりあ先生の赤い糸」とを現代のホームドラマだという旨を書いてきたが、このドラマもそういう部分がある。そして、片親だったり、叔母に育てられた者がいたりと、やはり昔はかなりの変形と思われた家族のふれあいが料理の記憶とともに描かれている様は、日本人の現代の食事に対する見直しや、家庭での料理のあり方の見直しにも見える。そういう意味でとても貴重なドラマとも言えるわけだ。
今回はまず、渡部の幼馴染めで商店街で生花店をやっている峯村リエの店でやっているフラワーアレンジメントのワークショップシーンから。桜田ひより、工藤美桜、遠藤健慎と大学の友人たちがそれに挑戦。そして、遠藤はこの花屋でアルバイトを始める。遠藤、最初は少しうざったい役かと思ったが、なかなか素直な青年で、このドラマの男性としては在りか?そう、花屋が似合う男というのは優しく感じたりもする。
で、本題は渡部篤郎が味覚障害になり、そのまま風邪で寝込み、渡部のどちらかというとそっけないメールに、桜田は店が休みの中、お見舞いにもいけないことでもどかしく思っている。お互いに気を遣ってのことだが、現代のメールというかLINE文化みたいなものは、電話と違って本音の部分が読み取れないところがある。そう、現代は情報伝達手段が多い分、その使い方も個々に温度差があり、昔以上に難しくあったりもする。こういう雰囲気をうまく描いてますよね。
そして、色々あって、桜田は峯村に言われて「阿吽」にお見舞いに行く。そこには熱が下がった渡部がいた。そして、桜田は渡部に「さばの南蛮漬け」を作る。味覚障害があってもわかりやすい味付けにして栄養も満点な一皿。今回もできたものは美味しそうでした。
そして、渡部は息子の窪塚愛流と一緒に桜田に家の中で一緒に食べて行けという。家庭の中に入るのを拒む桜田だったが、渡部の一言は、もう桜田が家族みたいなものだということで、食事シーンでそれを視聴者に訴えかけるのは今風のホームドラマの中ではアリですね。
そして、「サバの南蛮漬け」自体を渡部と窪塚でボリュームや野菜の内容を変えて出してあるようなところは、家庭料理の楽しみ方というか、家族への気遣いであるわけで、そういうのも良いですよね。
昨今のコロナ禍以降は不景気ではあるが、だからこそ、家庭料理を極めて家族の再構築を図る時代ではあると思う。そして、最初に書いたように家族の在り方もさまざまな時代、料理は時代を変えていく一要因になるというようなことも言っているような脚本である。今回もご馳走様でした。
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