「ブラックペアン シーズン2(第10話)」 血管継ぎ接ぎして、AIに指示されて命を保たせることが医療なのか?
最後に新しい病院はできるわけだ。そこに二宮和也演じる、渡海と趣里が戻ってきて、彼らもそこに勤めるのだろうというシーンで終わる。シーズン3も作ろうと思えば作れるラストにしてあるなと思った。
そして、このシーズン2の主役であった天城は最後には亡くなってしまったという展開。最終的には、ダイレクト・アナストモーシスは彼しかできない部分が多く、AIのエルカノでも救えなかったということか?まあ、彼はオーストラリアにいたのだろうから、自ら死を選んだということなのか?
最終回は、ダイレクト・アナストモーシスが3箇所も必要な患者の公開手術の続きから。高熱が出て、手術を続けるかどうかの判断になったところで、その話してる手術内容はよくわからないというのが私の本音。(多分、見ているほとんどの人が、何言ってんだかわからない感じだと思う)そして、竹内涼真ももう一人の公開手術予定だった患者をオペしていて、そこでも問題が・・。だが、その手術のビデオを生で見ていた段田安則が助けてくれる。手術をこういう感じでビデオで共有することで、問題が起きた時に新たなスタンスを取れるような状況は今時な感じで好感が持てた。ある意味、優秀な外科医は常に他の医師の手術にも立ち会うような感じになれば、いろんなことができるのだろうが、まあ、医師のメンタルを考えればなかなか無理な話である。そう、そこで考えるのは、AIは常に監視役という立場をとればなんとかなるかもしれないということだ。
と、考えたところで、それほど外科手術を無理くりやって命を助ける必要があるのか?という話である。ここで論ぜられる手術は、血管が詰まった部分を他の血管で代替えする話であり、それには手術時間に限界があり、時間内に手術を終えられる医師でないとできないというものだ。それだからこそ、天城は法外な金を要求してこういう手術を続けてきた。それは、そういう手術が完璧にできる病院を作るため。そういう天城の気持ちはわからないでもないが、命を金で買うような医師に誰にでも優しくできる心があるとも思えない。コインの表裏のように、裏で彼が何を考えていたかは最後までわからなかったというのが、このドラマの感想でもある。
そういう意味では、ここでは竹内涼真を主役と考えてこのドラマを見ればいいのかもしれない。彼の心は純粋であり、天城の医師として技術はリスペクトしている。そして、とても前向きに天城のやっていることを見ているのでまあ、好感が持てる。
そう、このドラマ、好感が持てるキャラがほぼほぼいないのだ。みな、自分のやってきた過去に影がある。だからこそ、そういう影のない大黒摩季が院長になったりするのだが、彼女の役も必要だったのかどうかよくわからない。そして大黒、役者としては使えないという印象。まあ、仮面ライダーの敵役なら似合いそうだが・・。
そして、天城の双子の弟であう渡海は出てきたものの、このドラマ内では出てくる意味があったのだろうか?もう一つ中途半端な感じがした。
で、公開手術の連続で胸焼けするような手術シーンの連続。爽快感みたいなものがないのは、ここで見せている医療が、ただの金儲けビジネス以外の何者でもないからだろう。そう、命って助けたって、そこに少しの未来は作れるけど、幸せが作れるわけじゃないのですよね・・。