「初恋の悪魔(第2話)」仲野太賀はじめ、4人のキャラの交わる先に何が見えるのか?
脚本家は、舞台を警察におきながらも、そこで燻っている4人のアイディンティテーの回復ドラマを作ろうとしているのだろう。そういう意味では、起こる事件は彼らが交わるきっかけでしかない。その向こう側、壁一枚挟んだ向こうに本当の捜査本部があり、学芸会のような感じに見せていることが新しい感覚ではある。だいたい、その本当の捜査を仕切ってるのが、瀬戸カトリーヌというのは、なかなかナイスな配役である。
今回も仲野太賀から物語は始まる。結婚式をいつにするかと恋人と約束。そんなところを林遣都に気づかれる。林はまた、隣人の安田顕を覗いて、いつ彼が事件を起こすのか?と待ち構えている。まあ、2回目になると、勝手に4人で事件の捜査会議を始めるのだが、ここがもう唐突すぎるドラマ。そういう一般人の考えを全く無視してくる坂元裕二は素敵だ。
今回の事件は漫才コンビの兄弟の兄が殺されたという話。六角精児が一人二役?誰かに殺されたと弟が通報。凶器はハサミ。という流れから、林遣都が鋏マニアだということがわかる。つまり、キャラクターの設定から、ドラマで起こる事件を作っている?その凶器から、どうやって刺したかを田中裕子に聴きに行く4人。最近、年齢より上の役が多い田中だが、ここでは久しぶりに元気な年相応の田中が見れる。こういうコメディアンヌとして使ってもいい演技をしますよね。
そう、今回は前回以上に警察の本当の捜査は出てこない。ここは、柄本佑が佐久間由依を好きだというだけのシークエンスとしての意味しかない。そして、林遣都は松岡茉優が好きなようだ。松岡のアナーキーな刑事が林に振り向くことはあるのか?そして、その松岡は仲野の兄の殉職について興味があるようだ。ここが、このドラマの最後のキーになるのだろうが、今は小出し状態。
そんな仲野は、恋人に二股されて問い詰めると、そういう契約の結婚だと言われる。全て自分から決められない仲野が納得せずも押し切られるのが面白い。仲野太賀は、今の日本エンタメ界で唯一無二のキャラみたいなものをうまく掴み、圧倒的な存在感を見せる。というふうに、このドラマ、事件よりも、彼らの日常の行動を見せることがテーマであり、事件は二の次。そして、松岡以外は、恋の標的が明確になっていって、「初恋の悪魔」という題名はそこからなのかはわからないが、なんとなく、サスペンスラブクライムみたいな感じなのか?と思えてきた。
事件は、起きた時の最初の一声が、弟の嘘で発した一声であり、それで、殺人時間を特定させて、その後、自分で兄を殺したという話。特に捻りはないわけだが、今回も、4人の推理で、彼らが模型の中を動きながら検証していく流れの画は、なかなか面白い。これ、脚本の中にどう書き込んであるかは知らないが、演出はなかなか力入れて作り上げてますね。美術さんと撮影班とのコンビネーションもなかなか大変そう。まあ、この画が毎回出てくるところも、このドラマの見どころですな。
結果的に、何を見せたいかはよく見せないままに、ドラマは上手くテイクオフしている。日常の中に異次元を作り出す脚本芸が流石である。