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「モンスター(第11話)」あなたにとって幸せって何ですか?という深い質問の裏にある現代への批判
最後に趣里が放つ、事件の当事者たちへの質問。「あなたにとって幸せとは何ですか?」「一体何のために生きているんですか?」これは、法律に反する裏金を作っても起訴されない議員や、大切な公園の長寿の樹々を勝手に切ってしまうような人々に言っているように感じた。司法は国民を守るためにあるわけだが、「自分の幸せ」もわからないような輩を守るという場合、何を守ってやるのかよくわからないということだろう。確かに裁判で法に触れたことを処理するのは権利ではあるが、その権利の濫用もまた多いということだろう。
前回の産廃処理会社の土地の汚染疑惑が、その産廃を持ち込んだ電気会社の問題に変わり、それを10年来追っていた、古田新太と趣里の親子タッグでそのことにあたることになったという流れ。つまり、趣里自身は古田に勝つ負けるということよりも、もっと弁護士としての深淵を探りたかったということか?
しかし、10年使っても電気会社の不正を暴くとして、電化製品による被害情報をいっぱい押し付けて、電気会社側をイラつかせる戦略は、ただのクレーマーではあるが、ここから、SNSでバズらせることも考えていたのだろう。そう、昨今は一般市民を味方につけて仕舞えばこっちのものなのである。だが、それを動かす最後の情報を掴んできたのはジェシーだったのが、今回の話のミソである。だが、彼が電気会社の重役の娘(小島藤子)とどんな話をして、彼女に証言台にあがてもらったのかは、ドラマの中で描かれていない。まあ、ジェシーは主役ではないということか?
そして、裁判とは別にSNSが騒ぎ出したところで、電気会社は和解に動く。こういうのは、最近は多いのでしょうね。どんなに悪さをしてもネット炎上には勝てないし、嘘はバレるということ。この辺り、まだわかっていない年取った人は多いです。お気をつけください。明治ファルマなどいい例ですね。
で、電気会社の弁護士が奥野瑛太なのだが、いつも半グレみたいな役が多いから、スーツ姿の彼がなんか新鮮であった。そう、彼が反社の産廃業者ではないキャスティングでちょっと違和感を感じたが、まあ、最後は全ての当事者が趣里にやり込められるという図式だから、そんなことはどうでも良いか。そうですよね、みんな色々嘘をついた結果ですもの。自分の幸せなど考えてないですよ。自分が殴られなきゃいいみたいな人ばかり。ある意味、今の日本の縮図がここにあり、それを趣里が訴えてくれた感じで気持ちよかったです。
ということで、ドラマは無事終わり、ジェシーは少しは成長できたのだろうか?というか、趣里の心の本当のところも今ひとつわからぬままに終わっている。宇野翔平もまた司法試験を受けるというし、このドラマ、シーズン2があってもいいですよね。脚本の橋部敦子さん、途中、ちょっと脚本の勢いが止まったところもありましたが、最後はなかなか上手いまとめ方。そして、こういう不思議キャラを描かせたらやはり上手いです。