「推しの王子様(第2話)」人はどうやって今の世界で生きられるようになったのかを問う怪作になりえるのか?
この渡邊圭祐演じる航のような人は、最近では日本に見ることのできない存在と言っていいだろう。まず、読み書きがまともにできない人間というのはいるのか?と問うと、不思議なところで引っかかる航のような人はなかなかいないだろうし、敬語のできない問題も、ここまでそれ自体を覚えられないということもないとは思う。しかし、考えれば、私たちをそれをどう学んできたのだろうか?とこのドラマは考えさせるわけだ。多分、このドラマの航というキャラを考えるのあたって「人間が、まだ生まれたての AIだったらどうなるか」というようなアイデアだったのではないのか?と思う。
そう、一度で物事を覚えない航は、AIそのものだし、かなりの繰り返しを経ないと結果が出ないところもそれである。人間は、1を知って10を知る生き物であるが、そういう応用の効かない状況だと、なかなか社会は成立していかないということもいっているように見える。そのくらい特異な航という存在を世の中に放つとどういうことが起こるのか?という視点が面白い。
ドラマの広報的には、「リアル王子様を育てる」ということなのだろうが、それをすることで、日常の本質を知りながら一緒に成長する物語というところなのだろう。脚本家は、かなり面白いトライをしている。それがどう成就するのか?というところがこのドラマの見どころであり、とても興味深い。
そして、航役の渡邊圭祐は、予想以上の演技を見せる。ただの野生児のような無謀ぶりではなく、ただただ、物事を知らないことで世の中にうまくついていけない無垢な感じがたまらなく、視聴者を惹きつける。そして、これからどうなるかはわからないが、2回目が終わって少し人間として進歩しているのを見せる姿もなかなかうまい。
パーティーの席で、客を横取りされて怒る男に「人を不快にさせないのがマナーだと教わりました」と言いながら、商売敵に水を掛ける航に、私たちは大きな納得をしてしまう。そう、このドラマはビジネス教本のようなところもあるのだ。
そんな航の予測できない所についていく、比嘉愛未が、ビジネス界のニューフェースみたいな位置にいるのは、そんな意味もあるのだろう。そして、この役、比嘉が今までに演じた役に比べたら、かなり難易度が高いものなのではないか?自分の戸惑いの中で、異次元の男に、逆に育てられている感じをどう演じるのか?見せ所だと思った。
そして、出演者の中で、唯一、過去の航を知る、白石聖が一緒に働くことになるが、彼女だけは、彼と普通に話せているわけで、ここのところも謎だったりする。彼女が彼の過去を知ることに意味があるのか?ただの恋の騒がしなのかはまだ読めないが、気になる存在となっている。
まだ2回目で、やっと、バカな男を王子にするゲームは始まったばかりだがなかなかドラマとしては観ていて新鮮である。渡邊にどの教養という武器を与えると、どういう反応をして、どういう結果が起こるのか?当たり前の人間の感情を逆立てる無教養が世の中の風刺になってくれば、面白くなっていく気がする。比嘉にしたら、攻略本が欲しくなってくるような状況。さあ、ゲームの次の展開を楽しもう!
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