「ゆりあ先生の赤い糸(第7話)」夫の存在が戻ってきて幸せな空間がどう壊れていくか・・・。
ドラマはあと2回ですかね。この疑似家族の幸福な感じが皆に共有されるようになって、そんな時に田中哲司の心が戻ってくることは、その先にはなんらかの別離があるということなのでしょうね。そういう意味で、今回は一つ屋根の下に住むものたちの一体感みたいなものを出したかったということなのかもしれない。
そのために、宮澤エマを悪役にして、まずは松岡茉優一家を家から追い出すという荒手な話を挿入する。これにより、皆の愛情みたいなものがわかってくる。というか、やはり小さい子供達に行き場を失わせるのは凄い悪意みたいなものを感じさせるのですよね。この追い出した後の、三田佳子の宮澤への対応の仕方が秀逸。こういう演技ができるのは三田さんまだまだ存在感あるよね。そして、この不思議な状況を一番冷静に見つめてるというのも三田さんの役であり、それで老人の凄みみたいなものを見せつけてるのもなかなかである。昨今は、老人を痴呆だなんだというが、人生長く生きていたことを邪険にしてはいけないと思う。そして、こういう感じで家の中が賑やかになれば痴呆など起こりにくいのではないのかなとも思う。ある意味、このドラマはそんな核家族化の末のホラー的展開を表現しているとも言えるわけだ。
そんな末に、松岡が菅野美穂の恋の話を聞いてやる感じもここにきてのことであり、変な友情みたいなものが生まれている中で、ここから何が語られるのか?しかし、菅野にやたら「おっぱい」というLINEが飛んでくるのは可愛くも見えるが、男って結局、女をおっぱいとして愛してる部分はあったりするんでしょうな・・・。
そして、今回の話は菅野がバレエで足を挫くところから始まっている。その前に家でバレエを練習してる白山乃愛に田中は声をかけているわけで、そういう意味では今回の流れを田中はじっと見つめている感じで、皆が戻ったところで声を出すことにするという展開。そして、どうも鈴鹿央士もバレエを始めるようだ。バレエがどのようにドラマのクライマックスで使われるのかは楽しみではある。その鈴鹿を誘った先生は黒羽麻璃央。彼、露出が増えてきているが、バレエの先生役がなかなか似合いますな。
で、田中は皆に謝りながら語り出すが、全ては田中の蒔いた種である。ここから、どう処理していくかはなかなか難しいところ。これだけ、彼が愛情表現をしてきた者たちが集まってくるということは、ある意味人間的には奇跡的なことだとは思うのだが、考えればその裏には多くの嘘があったわけで、そういう部分も含めてどういう人間かは判断されるだろうから、この疑似家族がいつ喧嘩別れしてもおかしくはないわけである。そういうバランス感覚をどう処理してドラマを終わらせるのは興味深いところだ。