「院内警察(第5話)」ネットのアクセス権が欲しいがために医師たちを追い込む正義
院長が最後に「彼、邪魔だねぇ」と言う。何か隠し事があるからそういう言葉が吐かれるし、利権を捨てたくないからそういう言葉が出る。結果的に、患者の命よりも自分の利権が大事な組織が病院というところなのか?というのが「白い巨塔」以来の病院ドラマの大きなテーマだろう。組織が大きくなればなるほど、病院の規模が大きくなればなるほど、患者の命は道具に使われるということか?という問いである。
ここでの、桐谷健太は、彼史上、一番格好いいと言ってもいい。もちろん、目的は自分の愛した人の命を奪われた真相を突き止め、そこで嘘をついたものたちに制裁を加えることだろうし、それがこの病院の意識改革でもあるというところなのだろう。そして、敵が多すぎるところが面白いとも言える。
今回は、桐谷と、彼の恋人の入山法子の出会いと、彼女がこの病院に入院する過程を最初に描く。入山法子はある意味、こういう不幸な感じが似合う美女である。もちろんスレンダーなこともあるが、顔立ちに何か隠れた影みたいなものを感じさせるということだ。そういう意味ではこの役にピッタリだし、桐谷とともに彼女の復讐をしようと視聴者をその気にさせる感じもある雰囲気が良い。そして、彼女は癌になり、この病院で新薬の治験を受けている最中に亡くなっていて、その治験責任者が瀬戸康史だったということが、明確になる。
そんな桐谷と入山の出会いのドラマの中に、前回の近藤頌利の医療ミスの話の続きをぶっ込んでくる。この流れがいいか悪いかは見ている段階で、よくわからなかったが、この話を院長の前で追求することで、桐谷の欲しかった「院内のシステムの院長レベルのアクセス権」を得ることに成功するわけで、なかなか用意周到というべきか、彼がやりたいことの風穴をここで開けた感じは痛快であった。
そして、肺塞栓が心筋梗塞として処理されたのは、D-dimerと呼ばれる血栓のデータが、他の患者と取り違えられていたことに由来するものだったとわかる。そして、最後に死んだ患者を執刀したのは瀬戸だったわけで、瀬戸は、心筋梗塞も併発していたという言い訳をする。つまり、本当のことを知ってるのは瀬戸だけであり、藪の中の話になってしまっているのだ。そして、データ取違の話については、瀬戸は「病院を護る責任がある」というようなことを言う。彼は何を目指しているのか?そして、自分の利権を何に使いたいのかはわからないが、「自分が正義だ」とすることで、医療を司っているようだ。世の中、「正義」と言う言葉を使う人間ほど、嘘をつく奴が多い。世界中の政治家たちを見ればわかるだろう。いわゆる「正義の味方」とは弱いものを洗脳し、自分のやり方に充足させる者のことなのだ。この病院の狭い社会の中で行われているそんなことは、社会の縮図でもあることはよくわかる。
そんな、危うく、すぐにでも食い殺されそうな世界に愛する人の復讐のために?果敢に飛び込んでいくアウトロー、なかなか格好いいですよね。ここから、後半の桐谷健太の芝居に期待ですよ!