「めぐる未来(第9話)」時間を戻るという病気が他人を救えなかった惑い
話の問いは解けたが、犯人の恨みはまだ続くという9回目。ただ、怨恨が続くという、見ていてとても辛い話になってしまった。そして、出版社の同僚の中井友望が、犯人の刑事、田中偉登の妹であるということがわかるという今回の展開。確かに萩原利久が、彼らの父親殺害を止めたために、母親が死に、彼らも彼ら自身でなくなるという流れの中で、萩原への復讐を誓っていたという、まあ、やりきれなドラマであることはわかった。
というか、これは、まず、父親のDVから逃れるために、母親も子供たちも、警察にまずいくべきだろう。ここで出てくるような傷跡があれば流石に放ってはいられないと思う。そう、過去の彼らの画にそういう、警察や隣近所に頼る的なシーンが皆無なのはおかしい。もし、そういう事象があって、隣近所も警察も何もやってくれなかったというなら、復讐対象はもっと広がるだろう。そういう意味で、このドラマにはかなりの無理がある。
そして、前回も書いたが、名前を変えてるような男が、警察に入所できることはおかしいし、ここまで狂ってる犯人が、普通の精神状態で殺しを行おうとするのは、無理がありますよね。原作がコミックだからということもあるのかも知れないが、この殺人事件には救いがなさすぎる。
しかし、確かにこの事件の背景には、萩原の過去に戻る病気があるのは確かだが、そのことと、この救いのない復讐劇を一緒に描くことになんの意味があるのか?大体、何度も書いているが、タイムパラドックスなどというものを何も考えていない内容だし、パラレルワールドはあるような感じだが、それがどうなってるかということは描こうともしていない。脚本的には、もう少しSF的なエッセンスが欲しいわけだが、そういうものは描く気がないことはここまで見ていてわかる。
ということは、描かれるのは、人間の怨恨の虚しさというところだけ。貧乏で殴られてきた兄妹は、この復讐を遂げたからと言って、結果的には罪を償うしか残った人生でやることはないのだ。萩原がこれを聞いて、自分が悪いことをしたという意識があるかと言ったら無い。大体、この糞親の正体をこの事件の時に親族が何も言えなかったことがおかしいのだし、恨むならば自分自身だろう。結果的には、この兄妹は面倒臭いだけ。
確かに、今日もDVで大変な目に遭ってる方もいるかも知れないが、こんな怨恨話に至るまでのことはあまりないだろうし、そんなもの描いてどうするんだというのが私の意見。そして、そんな虚しいことを描くためにタイムスリップ話を使わないでほしい。本当に、まだあと1回あるらしいが、このラストのダラダラ感も酷いですな・・。不適切にもほどがあるドラマですよ、これ!