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「うきわ〜友達以上、不倫未満〜」静かに壊れていく感じが不気味さを増幅する
野村宗弘原作のコミックのドラマ化。最近では珍しい「社宅」が舞台。そう、会社の中での顔も知られている中で、不倫が行われていく。そう、初回から、二組の夫婦の微妙なアンバランス感がなかなか丁寧に描かれている。
そして、森山直太朗、門脇麦、大東駿介、西田尚美というキャスティングがなかなか絶妙で、スタートからそれなりの期待ができるドラマだ。ある意味、深夜にこのドラマを見ていると、気が滅入る人もいるのではないか?そのくらい、個々のキャラクターの孤独感がよく出ていたりする。
森山は、朝ドラ「エール」で役者としての可能性を大きく見せつけたが、ここでも、妻に裏切られている旦那という役を見事に演じる。隣に引っ越してきた門脇麦と近づいていく、ぎこちない過程も森山ならではの演技である意味リアルに表現されている。
門脇も、どちらかといえば、こういう幸薄い役がうまく嵌る人だ。アパートにいる顔と、クリーニング店でバイトする顔が見事に変化していることで、彼女の演技の幅の広さも最初から見せている。
大東駿介の不倫の相手は蓮佛美沙子。こういう役をやらせたら本当に存在感を示す。まだ、それぞれの夜のシーンは出てこないが、そんなものいらないように、全ての欲求と倫理的形態がアンバランスに空気感として出ていることがとてもいやらしいドラマである。
そんな中で、ドラマの本丸になるのは、森山と門脇の関係なのだろうが、そこの部分で、まだまだとても距離感を感じさせているのが脚本としてとてもうまい感じだ。
しかし、初回から食事のシーンが何度も出てくるのだが、どの食事もうまそうではないのだ。森山と西田がビールを飲むところも意思があっていない。これだけ、食べるというシーンでアンバランス感を出すのは難しいと思うが、その辺りは演出の妙を感じた。
西田尚美や蓮佛美沙子の芝居を好きな私にとっては、とても期待できるドラマが始まった。テレビ東京らしい、予算があまりかからないようなドラマだが、現代の大人、サラリーマン、男女の疲れ切った心の風景を紡いで問題定義できるなら、それは興味深いと思う。
こういう社宅が舞台の話って、ロマンポルノの団地妻物にはよくあったけど、あの頃は、専業主婦というものがそれなりの数がいることで成立していた感じだった。今はそんな定型的な世界はない。様々な生活のカオスの中で、男も女も心を満たすために行動する。ある意味、ドラマとしては大きな異次元をそこに作ることもできるわけだ。そういうドラマを期待したりする。
まあ、タイトルは、世の中でどんな浮き輪を掴んで生き残るか?というところなのでしょうが…。