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「ファーストペンギン(第4話)」ロマンの答えは行動で掴むべし。道は遠い・・・。
今回は、「お魚ボックス」の配送のばらつき、鮮度の問題の提示。そして梶原善の息子たくみ(上村侑)の仲間入りの話。そして、団結してきた仲間から貸しはがしを行おうとする梅沢富美男で締めという感じ。
しかし、ドラマとしてはスピード感があって、一回一回に達成感があるのはすごく面白い。そして奈緒という女優の芝居の快活感みたいなものが画面からはみ出る感じがパワーになっている。この間観た「マイ・ブロークン・マリコ」では、精神的に病んだ女性をなかなか印象的に演じていたが、そういう芝居ができるのも、この女優パワーがあるからなのだろう。そう、女優としての鮮度を保ったまま、ドラマの中にいることが大事なのだ。
今回の主題は、お魚ボックスの鮮度がめちゃくちゃで、クレームがくるたびに再送しているために、赤字経営が止まらない話。まあ、それはいろんな策を立てた後でも変わらないわけだが、まずは、クレームをなくす問題からということだ。
それと並行して、漁師がいやで、勤め人になりたい上村。携帯会社に勤めて戻ってきたというのは、わかりやすい話だ。この話、まだガラケーが主流の時代。そう、あの頃は、携帯ショップに行くたびに怒鳴っている人を見かけていた。今では考えられない話だが、完全にお客様が偉そうにしていた。それを設計していた私にもその火の粉は降ってきて、お客様のクレームにいちいち改造で答える日々。携帯バブルは人を変えていったのだ。そこにいられずに漁師になっている上村は、この回で漁師の格好良さに気づく。それよりも、速水もこみちと漁師との会話が格好いいと思ったのだろう。そして、彼がいて、モバイルで客と繋がることに通じるというのは、なかなかうまい。
その、速水もこみちとの食事会。交通費はすべて経費として自腹というのは、なかなか辛いが、そのくらいしないと漁師たちはついてこないということですな。そして、彼らのスーツの着こなしがなかなか面白く。確かに東京にこういう人たちが歩いていることはたまにあるな、と思いながら見ていた。
そして、彼らに出される料理の美味しそうなこと。何度もいうが、料理が美味しそうに見えるドラマに間違いはない。とはいえ、速水が料理するところを全く見せないのは勿体無い気がする。漁師を説得させる、速水との会話のシーンはなかなか良かったですけどもね。
そして、最後の5分くらいで、彼らが血抜きから始めて、しっかり梱包できるまでになるのに、何度もボックスの魚が映し出されるが、この差が視聴者にはっきりわかるようになっているのがとても良かった。最後に速水の店に持ち込まれた魚の美味しそうなこと。
そう、奈緒が「仕事はロマンだ」というが、それを行動に移し、結果を出していくのがこのドラマなのだ。とかく「ロマンでは飯は食えない」というが、それはロマンというものがイメージとしてない人の言い草だ。このドラマは「ロマンに決着つけた女性の物語」だから面白いのだ。
まあ、今回も面白かった。次週はそろそろ渡辺大知の目論見が披露させるのか?お金の問題も、まだ解決する感じはないが、とにかくもそういう難題を残して進むのがテレビドラマとしてすごく有効だと感じております。