「となりのチカラ」現代の都会に隣の人を問う話。知らない隣は活劇ということ?
遊川和彦脚本演出というテレビドラマ。というだけで、正攻法のものではないだろうとは思ったが、初回はなんか主役の松本潤が集合住宅の中を駆け巡り、その建物自体が事故物件のようにさえ感じさせるものだった。現代hrの風刺が詰まっている住宅ということか?
確かに、都会では集合住宅の隣の人を知らないことが多い。働きに行って、帰って寝るだけという人も多いだろうし、その家族の形もまちまちだからだ。そういう姿で住まいが成立していることに皆が不思議に思わなくなってきた昨今だから、だからこそ脚本は成立するのだろう。
初回の印象は、松本が気になる人に出会うと近づき挨拶をする。リアルネットサーフィンみたいな感じ。つまり、怖さもなく、いや、気遣いの押し売りのようにどこにでも徘徊して好奇心を満たすみたいな?集合住宅の中でロールプレイイングゲームをしているんですよね。リモートが多くなって落ち着かないサラリーマンでこういう人は多そうである。女はママになり周辺のコミュニティーを作ることはあるが、男はそういうものがないから、徘徊する男は不審者ということにもなるわけだ。
とはいえ、今回の話の中心の隣に住む、小澤征悦と映美くららの夫婦は結構怖いものがある。隣から荒い声が聞こえてDVが行われているような中で、尋ねると意外に普通みたいなふりをする。基本的には管理人や警察を呼ぶようなことなのだろうが、全て松本が解決しようとするところがこの話の面白さなのだろう。最後には、静かな娘の「ありがとう」の手旗信号を見て、松本のやったことが役に立ったということで終わる。まだるっこしいが、今の世の中にありそうなホームドラマということだろう。集合住宅全体が同じ家という括りで考えると、ここで描かれるのは家族の話なのだ。
そんな家族の面々は結構豪華。松嶋菜々子、風吹ジュン、ソニン、清水尋也、など。松嶋は最近、こういう目立つ脇役みたいなのが増えているが、そういう年齢ということなのか?来た仕事は何でも受けるということなのか?なんか、女優としてはもう一つ何がしたいのかわからないモードに入っている。ここでの、占い好きなおばさんみたいな役をやる人がいなくなったということもあるけどね。家政婦役もやっていたし、市原悦子でも目指している?
松本としては「99.9」の映画もヒットする中での新ドラマの主役。ちょっと捉えどころがないというところで難しい役だが、こういうのは得意分野か?それなりに楽しめたがワンクールこの世界を見続けるのは少し辛いかもしれない。脚本が遊川さんなので、明らかに変化球なわけで、ドラマの落とし所をどこに考えてるのか読めない感じがここでもある。
あと、松本の妻が上戸彩。なんか主婦感が出過ぎでババくさいですよね。もう可憐さを売る時代ではないが、こういう家庭環境にぴったりな演技は少し残念。というか、うまい演技なのかもしれない。
ドラマの良し悪しは、まずは次回を見てということか?