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「アイのない恋人たち(第8話)」家族の話もお互いに見えてきて、アイがまた動き出す。

最終回前である。一度バラバラにしてしまった恋人たちをまた一緒にしていかなければならないという回。色々もどかしかった部分が、それぞれの感情にそれなりの熱い火を燃やせるように、再度、新しい火をつける感じの回ではあった。こういう流れを作るのは、さすがにベテラン脚本家と言える。

まずは、岡崎紗絵。彼女の家族が、兄と福士蒼汰の会話があって、再生に向かったのは、よくわからぬが、まあ、未来を示してるわけで良かったのだろう。というか、福士が兄のきっかけを作ってくれた感じ。そういう因縁みたいなものがドラマ的にどう絡んでいくのか?

その福士のところには、男に捨てられた母、高橋ひとみがやってくる。冷たく突き放す福士であったが、岡崎が自分の店に連れていく話を聞く。好き嫌いは別にして、高橋にはいくところというか、帰るところは元の親族のところというのが悲しいところ。色々壊れた家族が多い昨今、ここで示させれるような家族の再統合みたいな話はもっと増えていくのだろうと思う。

最後には、福士が、高橋とただ待っているだけだった父親も引き合わす。そこで髙橋は、「また、いつ糸の切れた凧みたいにいなくなっちゃうかもしれないよ」という。そう思ったらそうすればいいという父親。そう、家族という形を頑なに守る時代でもないのだろう。いつも待ってる人がいること、受け入れてくれる人がいることが大事な時代とも言える。そんなことを、こういうシーンでサラリを見せていく脚本。そういう、軽いが重い現代の物語を紡ぎたいみたいなものを感じさせたシークエンスであった。

そして、成海璃子と本郷奏多。男と女の関係を持つも、予定通りに成海は父(おかやまはじめ)の介護のために長野に帰る。電話をしても、本郷に対し「覚悟はあるのか?」と責める感じで問う成海。確かに、本郷は童貞であったことと同時に覚悟が決められなかった男なわけだ。そして、今回のラストには成海の家を訪ね。「スマホを遠くに投げ捨てる」という行為をするわけである。ある意味、今のスマホを投げてしまうことは覚悟になるのか?ほとんどのデータはクラウドにあり、また新しいスマホを買えば、ほぼ同じものになる今、このシーンはあまり意味をなさなくも感じた。

そして、前回、最後に祖母(丘みつ子)が心筋梗塞で倒れた前田公輝。自分だけでどうにもできない様は彼の性格も表しているし、彼が電話するところは福士のところであり、本郷のところであったりする。ある意味、そうできる友人がいることは幸せなのだと思う。そんな親友のいない人も多い昨今だしね。そう、そんな友人がいることも奇跡だ。そして、深川麻衣も丘の見舞いに来てくれる。前田と深川は、何度も自分たちが好きであることを丘のそばで語る。。死に行く人も、耳は最後まで聞こえるとよくいう。そういう意味では、こんな感じでアツい言葉を聞かされたら、丘が目覚めるのは必然だろう。

今回は、それなりに感動的なシーンが並べられ、最終回にはそれなりに良き人生の流れができそうにも見えてきた。そんなことを思ったところで、佐々木希が福士のところにプロポーズにやってくる。さあ、福士はどういう道を選ぶのか?


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