「グレイトギフト(第6話)」警察関係者も取り込まれる医療の闇ということか?
佐々木蔵之介の反町隆史への言葉「お前は俺に一生勝てない」。こんなこという人が昭和の時代にはいっぱいいた気がしますが、最近は少ないですよね。そして、これはもう、病院を舞台にしたヤクザ映画であり、「白い粉」の代わりに「死の薬」が売買されてるわけで、そこに警察まで加担する始末。そのくらい、足がつかない毒薬というのは闇深いフラグになるということですね。今まで、こういうドラマが作られなかったことが不思議なくらい。架空のものとはいえ、こんなに人間の心を揺らす「物」も珍しいですよ。
しかし、一人警察の中で今までの事象が不自然と思っていた尾上松也まで寝返るとは、サプライズすぎましたね。大体、今回は「逆襲編」と銘打ちながら、確かに逆襲は試みるも返り討ちになるという展開。つまり、サブタイトルに騙される展開なわけで、世の中は本当に何を信じていいかわからなくなる展開なのですよね。
しかし、佐々木蔵之介、クールにこの役を演じてますね。自分は悪くないというままに、このミッションをこなしていく様は大したもの。津田健次郎の演技は、どちらかというと自分の感情を殺せない演技になってるので、それと相反するように名演技に見える。
でも、この悪いグループ、いくら死が隣にある世界とはいえ、筒井道隆のような小物が入ってるのは危ういし、何を考えてるのかわからない倉科カナがいるのも、そこから崩れていくニオイもする。だが、倉科が彼らに女を使っていないのが結構新しい。ある意味、そういう油断が死につながるゲームだからだろう。そう、この犯罪ドラマは一歩間違えば自分が死にいたるゲームであるし、飲み物に常に気を遣わなければならないゲームであるわけだ。
だって、毎週五本ギフトが作られるとしても、それがどこに流れるのかがわからないものも出てくるのだろう、本当に危うい。
そして、佐々木に娘の命を握られてる尾上松也だが、こう簡単に寝返るとは?しかし、この事件を最後に止めるのは尾上のような気もするし、そういう意味で、これからの彼の心理の変化などは面白く描いてほしい。でも、結構早く殺されちゃいそうな気もしますよね、警察の人だしね。
で、来週は「真犯人編」とか銘打って、視聴者の射倖心を煽ってきますよね。今回のラスト、仕掛けられていた盗聴器が佐々木が仕掛けたものでなかったとわかり、その後に真犯人らしき者から非通知電話が反町にかかってくる。あくまでも、病院のそれも反町の近くのものの仕業だったということなのでしょうが、来週も「まさか?」の中で死のゲームが展開していくのでしょうか?
まあ、殺されるにしても、そんなに苦しまないでで逝くようだから、病院でそういう薬があるとわかれば、自ら、それを飲ませてくれと投与を望む人も多かったりすることも考えられるし、実際に安楽死ができる薬としてこういうものを投与する未来も遠くないのかもしれないとか、いろんなことを想像できる話ですよね。面白い。
そして、今回は誰も死なないのかと思ったら、真犯人が患者を殺すラスト!そう、毎回、誰かが朽ちていかないと、ドラマは前に進まないということですね。
展開はカオスになってきましたが、黒岩勉脚本はスピード感を緩めず、さすがというところ!