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「エルピス~希望、あるいは災い~(第10話)」真実を真っ直ぐに伝えるという嘘くさい現実をどう抉るかという世界・・・。

主題であった冤罪事件はそれなりに決着がついた感じ。しかし、真犯人の逮捕シーンなどは出てこない。そして、副大臣の失脚もない。つまり、最後にそれと差し替えた強姦事件の握りつぶしの方が大きかったということなのだろう。という部分を納得するかというと、なかなか難しい。そう、最後に長澤まさみが語っているように、真実などというものはこの世にないのだ。だからこそ、脚本家は、曖昧なままに視聴者にテーマを放ったということなのだろう。中途半端に思う人も多いかもしれないが、ある意味、今のこの国の現実を語ろうとすると、こういうオチになるということを表現しただけでもなかなか強烈なドラマではあった。

今回の最初の見所は、眞栄田郷敦の家での長澤との対話のシーン。岡部たかしがスタジオで暴れた後で、長澤が何があったのかを確認するシーン。そこで、長澤は、強姦事件の話を初めて知り、ある意味、彼女の正義感が甦るという流れ。もはや、「自分を守ってどうするんだ」という、ジャーナリストという海の中にいる自分を鼓舞する感じで、最終決戦に望む形。

そして、長澤が居直る状況の中で、三浦貴大が、長澤を下す決断をしないのはおかしいとは思うが、それはドラマ的に、長澤と鈴木亮平を対峙させて、報道というものが日本の中で世界の中でどのような役目を担っているかということを視聴者に説明していく。これが今回の最後の見どころということだろう。そして、このわかったようなマスコミの正義感である、この鈴木の発言を出すためにこのドラマはあったと言っていいのかもしれない。

「それは何?」「それは洗脳?」「それは必要?」そんな声が聞こえる感じに最後はしたかったのだろう?

そう、無防備な発言が、世界の経済をも狂わすということを鈴木は語るわけだが、確かにそういうところから、戦争も起こるかもしれない。しかし、実際にやってみなければわからないという部分はあるわけだし、嘘は必ずバレるというのが世の常だ。確かに嘘を嘘で誤魔化していって真実がボケていくことは、今の世の中多くあるが・・・。

そして、先週は大きなキーだったと思われる、というか、強姦事件のネタを知っている週刊誌が今回出てこないのは少し不満。あと1回あれば、その辺りも絡められたということか?長澤の暴走を止めたところで、活字は諦めない気がするが・・・。

渡辺あやの脚本は、それなりにしっかりと着地はしている。彼女が描きたかったのは「真実」とは何?正義とは何?という疑問と、それを考えること自体の虚しさみたいなものだったのかもしれない。パンドラの箱を開けて、世の中にぶっちゃけたときに、また元に収めようとして、さまざまに拾い忘れるものがあったりする。そう考えると、このドラマは終わったわけではない。そんな印象を残してる感じに、この続編というか姉妹編もまた作って欲しいと思う私だった。まあ、書くのに体力を必要とする脚本ですけどもね。

最後に死刑囚だった男がカレーライスを食べるシーンはなかなか良きシーンであった。冤罪が認められたということだろう。そういえば、昨日、ネットで和歌山カレー殺人事件が冤罪であろうというニュースを読んだ。こちらは、政府関係者が関わっているわけではないだろうが、真実を追求して欲しいところ。マスコミが報道する死刑囚の人間の印象だけが一人歩きしてそうなってしまった例だと思うので、このドラマともシンクロしている気がした。

この情報過多の社会で、真実がどうかわからないような事象は年々増えているようにも感じる。今回のパンデミックの周辺もそうだ。陰謀論とかを信じるわけでもないのだが、気持ち悪いことが多すぎる。そんな中で投げられたこのドラマ、ここから多くの人にまた見て頂き、皆が本当のことを必死で追いかけるような社会にすることを考えて欲しいと思う。そして、真実を求めてアクションする人が増えれば、政治も日本も変わると思ったりもするのですが・・・。

なかなか、面白かったです!渡辺あやさん、次作も楽しみにしています!

PS
これを出稿してから2回目を見ました。最後に「正しいことを追うよりは夢を見ようよ」というフレーズがありましたね。これが今の日本に抜け落ちてるところですよね。政治家など、それの最たるもので、我々に夢を見せてくれれば応援しますよ!まあ、嫌なものに砂かけるよりも、大きな夢を見て追いかけることが大事だというのが、このドラマのテーマの本質ということかなと思いました。

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