「初恋と悪魔(第4話)」わかりやすい事件の裏に、混乱の現実が溶け出していく
やはり坂元裕二の脚本なわけで、主役の4人のリアルな周囲が溶け出していくような感じについていけるかどうかである。
表の事件。今回は世界英雄協会と名乗る、世の中のモラルを守らない人々にドローンから攻撃するという輩の話。この犯人が、佐久間由依を攻撃したことで柄本佑が本気になる。スイッチは、犯罪への怒りから起こるものではないところがこのドラマらしい。で、今更だが、柄本の役名が「小鳥」なんですよね。ここ、「ユニコーンに乗って」の西島秀俊と被ってるんですよね。昨日、「石子と羽男」と「競争の番人」が記憶の仕方が被ってると書いたが、ワンクールの中に、こういうことが二つも起こるってなんなのでしょうね。まあ、脚本など、お互い秘密裏に進めるから偶然だとは思いますが、ドラマ作家たちの頭の中が同期してるのかしら?ちょっと気になりますよね。
そして、「世界英雄協会」とは、これ、すぐに真似しそうな人もいますな。こんな、正義の味方をどこかで求めてるのが現代と言ってもいいのだろう。世の中のドラマにはYouTube大活躍ですな。それを追う4人は、街を走りながら、セットの中に入りながら、今回も犯人にたどり着くも、同時に刑事の皆さんも解決するという流れ。あくまでも、このドラマの事件と解決のシーンは、さしみのツマである。その割には、編集が大変そう!
今回の大切なところが、松岡茉優が亡くなった仲野太賀の兄を知っていて、それとは関係なく、自分の家の鍵を無くしたことで、仲野の家に止めてもらうことになり、自分の二重人格性を語り出す。人格が何者なのか?的な部分はとても坂元脚本らしくなってきた。出てきたスマホの中身はまだわからず…。大したものは入っていないかもしれない。
それと、林遣都が覗き続ける安田顕の家には、いろんな女が出入りしているのがわかる。林は混乱して「妻ズ」などと言い出すが、このあたりも、他の3人とは別のところで謎が進行していて、いつの間にか、林の松岡への恋心は消えてしまったのか?4回目にしてパズルは、元に戻すのに苦労する段階に入っている。
多分、松岡の二重人格というところで、話が増幅しそうな気がするし、林がリアルに覗いているのも、人格の混乱から起きているのかもしれないわけだ。
そんな中に、世界英雄協会のだしてくる数字クイズは必要か?と言えば、柄本佑が「会計だから、数字得意でしょ」という、一命題で解くことになるというだけのものであったりする。こういう、ただのドラマの無駄な時間、労力みたいなもので、視聴者は混乱の中に放り込まれる。面白い人には面白いが、離脱していく人は、ただ去っていく脚本。それが私には「すごい」とは思えない。つまり、こういう坂本ワールドは、なんか、習作を見せられているようにも感じるし、そんな緩さはいらないとも感じる。
とにかく、ラストは伊藤英明が、階段から落ちて終わったわけで、松岡と伊藤の間にあるものとか、謎が増幅して中盤に入るというところか…。