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「コントが始まる(第10話)」解散後のエピローグの刹那さ、そして抜群なラストに唸る!

今期のドラマの中では、最高に面白かったし、次の回が待ち遠しいと言える唯一のドラマだったろう。それは、視聴者が皆、マクベスから目が離せなくなるような、有村架純の視線にシンクロしていくような作りだからだろう。そして、み続けているうちに主役の三人が皆愛おしくなっていく。いや、私のように歳がいったものは、はるか昔のその日の無謀さを思い出したりする。時代などにとらわれない、永遠の青春像がそこに描かれていたからだと思う。

最終回は、ラストライブ中心に動いていくのかと思ったら、それはダイジェストという形で軽く濃く描かれて、マクベスの周囲の人々の姿がしっかりと描かれていた。そこには、芸人としての彼らを観るというよりは、人間としての彼らを観ているファン、いや親族がいて、(本当の親族はほとんど見にきていないのが良い)、彼らの出発を見守っている感じがたまらない。

居酒屋での打ち上げ、そしてスナックでの三人、ラーメン屋につながる、後ろ髪を引かれるようなエピローグ。「ラーメンを食べ終わる瞬間が解散だ」という台詞がすごく意味を持ち、菅田将暉がラーメンを食べ終わる時間を待つ的な思いは、意味のない青春の味がした。

そして、脇の人々たちの現在と未来もそれなりに語られ、マクベス周辺に存在する「波動」みたいなものをしみじみと視聴者に提示していくことで、「マクベス」という芸人が確かに存在したと印象付ける感じがとても素敵なラストだった。

そして、有村は、最後までマクベスの推しでしかないのだ。それがある意味今風なのかもしれない。菅田と変な恋愛関係にしないところにこのドラマの味を感じる。作り手が違うから、関係はないのだが「花束みたいな恋をした」のパラレルワールドを見せられているようにも見えた。菅田と有村には、これからも新しい恋人模様みたいなものを演じていっていただきたいと思ったりする。

ラストは、水がメロンソーダに変わった公園。ビールを大量に持って有村が菅田を待つ。このシーンで終わるのは、ある意味、人生はループしているような感覚なのだろう。そして、人生はいつもスタートにいるみたいな…。

出演者のその後が綴られていく、エンディングはみていてたまらなく素敵だった。三人だけでなく、周囲の人々に私自身が想いを強く抱いていたということなのだろう。そして、ドラマのチームワークみたいなものもそこに見え隠れする。

そして、本当のエンディングは、最初のコントに戻って、リアルがやってくる。なかなか心地よい後味である。そう、「人生はコントだ」ということなのだろうか?とても、洒落たドラマでした。


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