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「ジャパニーズスタイル(第5話)」モトーラ世理奈が2倍速で演じる楽しさ

こういう観客を入れての一発収録というのは、一つの緊張感があって、どんどん役者たちもそれに鍛えられていく感じがする。もちろん、もともと舞台で鍛えられてきた人も多いわけだから、いや、出来る人を集めているわけだから当たり前なのだが、それにしても見ていて楽しい。

今回は、仲野太賀の母である、本物の女将。キムラ緑子がナレーションではなく登場。この人が出てきてから帰るまで数分だと思うが、いつものドラマに見るのとは違う存在感があった。基本、このドラマの演出が、普通の1.5倍速くらいで行われているためだろう。役者たちは、出来たリズムの中にうまく自分をシンクロさせていけるのだ。そういう意味で、上手い歌手が役者をできるのは、天性のそういうリズム感があると私は思う。

そう考えると、このドラマ、現代のファースト映画とか、倍速見が氾濫する時代には、一つの挑戦な気がする。普通に流れが早いものを倍速で見ると、早すぎてわからないという混乱に陥れるための新しい技にも見えたりする。そう、こんな感じで現代に挑戦するのは良いこと。そして、いつも、こんな30分興行みたいな演劇をやったらウケるかもしれない・・・。いや、それでは、大衆演劇ではないかとふと思う。大衆演劇は短いショーのセットを作り、毎日、違う演目をやることで客を呼び込む。そういうのが現代にもマッチしているのかもしれないとふと思う。そう考えれば、映画だって、30分から1時間の映画を500円〜800円くらいで見せる興行があってもいい。と、こんな脇道に逸れるくらい、いろんなことを考えさせられる。

そして、ドラマの話に戻る。先に書いた、キムラ緑子の演技は、スピーディーで、彼女の存在感を見事に見せつけ出ていったわけで、やはり残ってる役者ってそういう事なのねと思ったりした。

そういえば、いつも抜きのカットで出てくる占い師の宮澤美保も登場。着ているものの派手さと、いかがわしさで、ワンカットでもすごい脳裏に残りますな。そういう点でも、なかなか演出は素晴らしい。

そして、今日のメインゲストのもう1人のルーシー、モトーラ世理奈。この人がここまで演じてきた役は、極力セリフが少ない役だったり、少しゆっくり目の小さい声で話するみたいな役が多かったから、ここでのたたみかけるようなセリフと演技にはなかなかびっくりさせられた。こっちが地で、いつもの演技の方が演出されているということか?前回に期待した、市川実日子とのルーシー対決はなかったが、旅館のみんなをたらし込み、自分のファンにしてしまうという魔性の女の演技はしっかり出来ていた。まあ、芝居がまともに出来ない人には、このステージ無理ですよね。

とにかく、他のレギュラー陣も、初回に比べどんどんテンションが上がっているようにも見えるし、それだけ見ている方も真剣に見るようになるわけである。そして、そこの時空には倍速不要と書いてあるようでもある。テレビドラマの新しい形として、これはありですよね。楽しませていただいています。

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