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「9ボーダー(第7話)」 家族が揃って、息のあったところで、銭湯改革GO
前回、SNSで動画がバズったことで、今回はドラマが起こるのかと思ったら、そのバズリの返しは今回の最後できた。来週がその話ということですかね。つまり、今回、松下洸平が戸籍を作りに裁判所に向かって、それができなかったというのは、それができなくなる事象が起こりそうな予感だったということ。それは流れとしては上手い感じ。
そして、今回は、前回、一度長野に帰った長男(齋藤潤)が東京で一緒に住むという知らせがあり、家族4人で長野にいく話。突然湧いて出たような弟を、なかなか親切にして迎えてあげる三姉妹。父親の高橋克実に「頼りになる」と言わせるこんな娘たちも珍しいだろう。そしてまた、父親のことをそれなりにリスペクトしてる感じがわかる娘たちという存在が描かれることが珍しいのだ。そういう意味で、この令和の時代のホームドラマとしてもなかなか異質な感情構造が取り入れられているのがこのドラマの面白さだ。
そして、ラストには木南晴夏が、避けようとしていた井之脇海が怪我をしたというのを聞いて飛んでいくような、女たちから優しい男たちへの動きがうまく描けている。それは、川口と松下の関係もそうだし、だんだん畑芽育に近づいていっている木戸大聖の関係もそういう展開を見せそうだ。とにかく、なんだかんだ言って、すごく優しい世界が描かれてることで素敵なドラマに見えているここまで。
だから、東京に着いた後で、齋藤に、学校に行っていい、友達作っていい、部活やっていい、と彼を前向きにしてやれる三姉妹の心根が強烈に見えてくるところがいい。ここでは、男も女もない。そう、どちらかというと、タイトルからしてこのドラマ、年齢の違いでの心の相違的なものを描こうとしようとしているのかと思ったが、ここまで見てくると、そんな年齢など関係なく、自分に正直に楽しい方に向かって生きればいいのではないか?というのがテーマな感じがする。
そして、そんな普通の温かい家庭像の中に記憶のない松下が放り込まれ、その溶媒になっているのだが、その溶媒の本質というか、彼の本当の人生みたいのが見えた時に、そこにどう波乱が起こるのか?というところがクライマックスとしては重要なのだろう。というか、今回の中で、雷で怯える川口のところにやってくる松下が彼女を抱きしめもしないのはどういう意味があるのだろうか?ある意味、そういう関係にはしてはいけないという脚本家の意図も見えたりする。
そして、銭湯をリニューアルすることは決まった。それがどんな姿で視聴者の前に現れ、それができた時に三姉妹の未来はそれなりに見えてくるのであろう、もちろん、男たちの未来も、それを想像しながら、後2回、楽しみたいと思っております。