「ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~(第9話)」"公務員舐めないでくださいね"という言葉が重く聞こえない辛さ
このドラマ、地方とそこの有力企業が国も巻き込んで不正をして、利権を総取りし、言うなれば街を壊そうとしている話である。確かにここに描かれているようなことは実際に起きていて、それが今の地方の不活性化につながってしまったと思える部分もある。そう考えれば、なかなか骨太のドラマであり、いろんなことを考えさせられたりするところはある。
だが、前々から書いているように、主演の2人にそれを追求する説得力を感じないのが問題だ。菊池風磨は、多分、彼の俳優歴で一番のチャラケた感じに仕上がっているし、山田杏奈は、この役をするには顔が幼すぎる。共に正義を追求する公務員の役にフィットしていない。この辺がずーっとみ続けても変わらないというか、菊池に至ってはそのキャラがさらに強くなっている。この彼のセリフ、たぶん全部脚本に書かれているわけではないのだと思う。仕草等も含め、アドリブがかなりあると思うし、演出は菊池に全て任せている感じがある。確かに彼はそういうキャラだし、そういう演技がないと彼ではないのかもしれないが、「公務員を舐めないでください」というセリフを吐くには、これでは説得力が無さすぎる。
で、クライマックスになって、相楽グループの企業が「徴税禁止リスト」という、あってはならないものの中に多く存在し、その徴税見逃し額が50億にも及ぶという、全国ニュースになっておかしくない規模になっているのに、徴税課だけで騒いでいるのもおかしいわけだ。
あと、街の商店街の人々をうまく騙して、最後はそこにショッピングセンターを立てようとする計画があるみたいな話は、昔からよくドラマにも出てきた話で珍しくもないが、そこに徴税吏員が関係して、商店街の活性化のアドバイスをするとか、そんなことがあるわけがないと思うのだが、実際のところはどうなのだろうか?だいたい、税を扱うものが「クラウドファンディング」を使うとかいう話を持ってくるのも本末転倒の気がするし、どうもその辺りの、今の税金を扱う公務員の本当のところを知りたいところ。
というか、徴税吏員が揃って、街の餅つき大会に出るなんて話も聞いたことがない。そして、ここでは公務員の内部の内輪揉めみたいな話の流れの中で、菊池の同期の自殺未遂がつながってくるとか、色々救いがないは話ばかりで、結果的にドラマ制作者はこれで何が言いたいのだろうか?こんなドラマ見てたら、税金払いたくなくなるでしょう。そういう部分も含め、色々主張がよくわからない世界になってるのだが、次回が最終回。まとめ方としては、板尾創路だけを悪者にして終わるのだけはやめてほしいよね。